「英字新聞を読む」というと、堅苦しく、敷居が高いように感じがちですが、必ずしもそんなことはありません。
また、紙の新聞を買うと高いですが、パソコンやスマホで読めば安上がりです。
さらに、動画を配信している新聞社も多いです。ヒアリング力の強化にも役立ちます。
英字新聞には、2種類あります。日本の大手新聞(朝日新聞・毎日新聞・日経新聞など)の英語版と外国の新聞(Washington Post, New York Times, Financial Times, The Times, The independentなど)です。
外国の新聞では、上記したような高級紙(Quality paper)以外に、中級紙や大衆紙もあります。内容も多彩で、政治・経済・事件などに加えて、スポーツ・芸能・文化・趣味・健康・旅行など広範囲のジャンルをカバーしています。
「本で読む」ためには、数か月~1年の遅れを覚悟しなければなりません。新聞で読む場合は、記事は一般に「出来立てほやほや」の最新状態です。
そのため、時には誤っていること、継続的事案は、その後もフォローしなければ完結しないこと、偏った見解の場合があることなどに注意が必要です。
以下は、英語力を強化する目的で、英字紙を読むという観点で述べます。
目次
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英字新聞・雑誌の種類
ウェブサイトのBest Teacherに、日本の英字新聞・雑誌の難易・内容を分かり易く表示した図がありましたので、転載します(注1)。もちろん、これ以外にも数多くの英文の新聞記事は利用可能です。
発行元が常に強調するのは、「継続的に読む」ということです。しかし、私は、同一紙を長期間、継続的に読む必要はない、と考えます。
むしろ、複数の発行者の記事を比較し、内容に応じて自分に合ったものを、その時その時に選択することを勧めます。
日本語の新聞でも同じですが、新聞社などの発行者は、それぞれ主義・主張をもって、記事を選択し、編集しています。
したがって、1社の記事ばかり読んでいると、考え方に偏りを生じる可能性があります。
政党の機関紙などは、その典型です(私は、政党の機関紙を読むな、と言っているわけではありません。)
【注1】Best Teacher 「英字新聞・洋雑誌比較」
引用元:http://www.best-teacher-inc.com/japantimes/hikaku
望ましい読み方は?
(1) 関心のあるテーマから
仕事ではなく、語学の勉強を目的として英字新聞を読む場合は、まず自分で興味ある記事を発見することから始めねばなりません。
例えば、野球にまったく興味がない人に、米国メジャー・リーグに関する記事を読めと言ってみても、無意味です。興味のない記事を読むのは、苦痛です。苦痛を感じながらでは、継続できません。
私が、勧める方法は、まず日本語の新聞で、興味ある記事をみつけ、それをしっかり読んで、中身を把握した上で、その新聞社の英語版(電子版が望ましい)を見つけて、先ほど日本語で読んだ記事の英語バージョンを読むのです。
できれば、両者を比較しながら読むと良いでしょう。記事全体の内容を承知しているので、英文の理解は容易です。
その関心事に関する分野の用語を英語で何と言うのかがわかれば、あらかじめ日本語を読んでいなくても、英語の記事を理解できるようになります。
語彙も広がりますし、英字新聞に対する抵抗感も薄らぐでしょう。
(2) 範囲を広げて
誰でも、たった1つのことしか関心がないということはないでしょう。別な関心事について、上記と同じことをやって、レパートリーを広げます。
例えば、スポーツの次に、音楽、または経済、あるいは国際紛争、地球温暖化問題、人工知能(AI)、病気や医療、など関心事の候補は無数にあります。
どの分野でも、まず日本語で全貌を把握し、次に英字新聞の記事を読みます。
そうすることで、英文の羅列に対する恐怖感がなくなります。
海外の新聞記事を読むと、その長さに驚かされます。紙面で言えば、第1ページ目から始まった記事が、“Continue to page XX”として別のページに飛びます。さらにまた別のページに飛ぶこともあります。
(3) 辞書は引くの、引かないの?
英語の本や新聞を読む際、しばしば聞かれる質問が、「知らない単語が出てきたら、辞書を引くのですか、それとも引かずに読み進むのですか?」というものです。
私は、どちらでも良いですよ、と答えるようにしています。
それは、状況によるからです。辞書を何度も引くのは、記憶を確実にするので望ましいですが、いつでも辞書を持っている訳ではないですし、電車内で、スマホの記事を読んでいるような場合、辞書を引くのは面倒です。
したがって、辞書で調べることができる環境であれば、意味を調べても良いですが、無理に辞書を引く必要もありません。
先日、テレビで、海外へ行ったことのない、12歳の少女がTOEICで980点(990点満点)という驚異的成績を記録したニュースを報道していました(注2)。
彼女の場合、3歳の頃、英語で指導する保育所へ通っていたようなので、一般の日本人とは状況が異なりますが、その勉強法は、辞書を引かず多読・速読するという方法だそうです。
最初は言葉の意味がわからなくても、違った文脈で何度も使われることで、その言葉のイメージを理解していくという方法です。
複雑な概念・論点に関する記事の場合、この方法が一般の日本人に最適かどうか、疑問ですが、試みる価値はありそうです。
(4) 聞くことも重要
パソコンやスマホで英字新聞を読む場合、添付されている動画サイトでアナウンサーや当事者の発言を聞くことができます。
トランプ大統領やメイ首相の発言を聞くと、その違いが大きいことや、話し方のわかり易さなどが観察できます。読むことと共に、耳で聞くことも重要です。
(5) 自分の考えを書いてみる
自分の関心事について、何本かの日本語・英語の記事を読むと、自分の意見を述べたくなります。ノートに英語で書いてみることを勧めます。
わからない単語や表現は、その前に読んだ英字新聞の記事から借用すれば良い訳で、ゼロから書く場合に比べれば、はるかに容易です。
始めは数行の短文でも構いません。次第に、概要・論点・他者の見解・自分の意見などの区分で、1件1ページ程度の量のエッセイを、比較的短時間で書き上げられるようになります。
1件終わったら、別のテーマについても挑戦してみると良いでしょう。この、「自分の意見を英文でまとめて、書く」という行為は、いずれ誰かに話すという場合に、大いに役立ちます。
何が問題なのかがわかり、それに対して誰が、どう対処しようとしているのかがわかったとしても、それだけではディベート(討議)には不十分です。
自分の考えを正確な英語(単語)ではっきり言えることが必要です。新聞記事を読むのは、そのための素材をインプットする目的で行うのです。
【注2】神戸新聞
引用元:https://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201704/0010083461.shtml
まとめ
海外メディアの記事を、ITを利用して、自由に活用できる時代になりました。英語力アップの目的でウェブサイトの情報を積極的に利用していきたいものです。
その際、「受信」することだけでなく、SNSやブログを通じて、英語で「発信」していくことを目指して、書き、話すことも忘れず、努力を続けて下さい。
しかし、話し、書くことはOutputで、読むこと、聞くことはInputに相当しますので、英語で自由に話せるようになるためには、あらかじめそれ相応のInputをしておかなければなりません。
英字新聞を読むことは、Input作業としてもっともふさわしい行為の1つだと思います。