ネタバレ含みますのでご注意ください。
リドリー・スコット監督の特色が全面に出た作品。
赤く染まる夕陽を背景に白煙を上げる工業地帯、ネオンが煌めく大阪の繁華街、火花が燃えさかる鉄工所の風景。
大阪の街が『ブレード・ランナー』のような独特な映像美で表現され、それだけでも見る価値がありますね。
刑事とヤクザが絡む映画としては、特に真新しさはなく、オーソドックスではあるけど、東京ではなく、大阪が主な舞台となっているところが珍しさもあって、興味が引く部分でもあります。
話の展開もテンポがよくメリハリがあって、見ていて飽きません。
設定的に多少無理があって、首を傾げてしまう部分もあるけど、それはご愛嬌ということで。
それを差し引いても充分楽しめる作品ですし、今観ても面白い。
そんな『ブラックレイン』のあらすじと感想をご紹介します。
目次
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あらすじ
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ニューヨーク市警の刑事ニック・コンクレン(マイケル・ダグラス)は、麻薬密売の事件で売上金を横領した疑いをかけられ、査問を受けていた。
ニックは、査問の後、同僚のチャーリー・ビンセント(アンディ・ガルシア)と行きつけのレストランにいた。
その時、日本人ヤクザのテーブル席に突如男が現れ、ヤクザが着ているスーツの上着から、忍ばせていた箱を奪い刺殺する。
ニックは、刺殺した男を追跡し捕らえる。
日本でも指名手配を受けていたその男は佐藤(松田優作)という。
ニックとチャーリーは佐藤を護送することになり日本に向かう。
到着した空港で、佐藤の身柄を警察官に引き渡す。
実は佐藤の手下が警官を装っていたのだ。
自分の失態で佐藤を逃がしたことから、大阪府警の捜査に加わることを要求するニックだが、刑事部長の大橋警視(神山繁)は認めず、二人が所有する拳銃を押収し、松本警部補(高倉健)に二人を監視するよう指示をする。
ニックとチャーリーは松本から佐藤に関する情報を聞き出す。
拳銃を所持した警官が廊下にいる事に不審に思ったニックとチャーリー。
松本に質問すると、佐藤のアジトのタレコミが入り、突入するとのこと。2人は、強引に護送車に乗りアジトへ向かうが、そこに佐藤はもういなかった。
ニックは佐藤のアジトから証拠品であるドル紙幣が目に留まり盗む。確認したところニックが睨んだとおり、ドル紙幣は偽札であった。
松本にドル紙幣が偽札である証拠を説明するが、断りもなく勝手に証拠品に手を付けた事とニューヨーク市警でニックの置かれている現状を問いただされたことにより、険悪な状態になってしまう。
チャーリーはニックと松本の関係を元に戻そうと、クラブ・ミヤコに誘うが、ニックは外人ホステス・ジョイス(ケイト・キャンプショー)に佐藤の情報を聞き出すために近づく。
二人はクラブ・ミヤコを後にして、ホテルへ帰る途中、チャーリーも酔っていたことから気が大きくなり、暴走族に絡んだ隙にコートを奪われてしまう。
チャーリーは駐車場に誘い込まれ、暴走族に囲まれてしまう。
佐藤の罠だった。
チャーリーとはぐれたニックは地下駐車場の金網越しで、暴走族に囲まれたチャーリーを見つけるが、そこに佐藤がバイクで現れ、ニックの目の前でチャーリーをなぶり殺しにされる。
ニックは佐藤への憎しみから、より一層佐藤を追跡することになる。ことあるごとに衝突を繰り返していたニックと松本だが、次第に捜査を通じて信頼関係が芽生える。
事件の発端は、偽札製造を巡っての抗争が背景にあり、それを牛耳っている菅井(若山富三郎)と元子分であった佐藤との対立であることがわかる。
ニックは松本と再度手がかりを探すために、佐藤のアジトに向かい、クラブ・ミヤコのホステス(小野みゆき)が身に付けている黒のスパンコールを見つける。
ニックと松本は、ホステスの尾行を始める。銀行の貸金庫からあるものを取り出して、受け手の人間に渡す。
その男(内田裕也)は、空港で佐藤の身柄を引き渡したニセ警官だった。
2人は、その男の後を追う。
ニックはようやく佐藤を見つけ、追い詰めるが後一息のところで大阪府警の邪魔が入って取り逃がしてしまう。
ニックの単独行動により、アメリカへ強制送還され、松本も責任を取らされ、停職処分を受ける。
ニックは自分の手で、チャーリーの仇を取る思いを諦めることが出来ず、離陸前の飛行機から脱走。
松本の家へ向かい、捜査の協力を求めるが、協力することが出来ないと断れてしまう。
ニックはジョイスの情報から菅井と接触をはかり、お互い利害関係のある佐藤の引き渡しを申しでる。
菅井はニックを佐藤と手打ちをする会談場所へ連れ出す。
ニックは周囲の状況を俯瞰し様子を伺っていた。
そこに松本も現れ、ニックに協力をする。
佐藤は手打ちの場で指を詰めて詫びを入れた後、菅井を襲う。待機していた佐藤の子分と菅井達の子分とで銃撃戦となる。
ニックに気づき逃走する佐藤。追い詰め激しい格闘の末、逮捕し、佐藤を大阪府警に連行し、松本と一緒に表彰を受ける。
事件が解決したことで、アメリカに帰るニック。
松本は、空港まで見送り、ニックからプレゼントをもらう。
そのプレゼントの箱はワイシャツが入っていたが、よく見ると行方不明になっていた偽札の原板が入っていた。
ニックの粋な計らいに松本が呼び止めると松本に向かって、笑顔で親指を立てるジェスチャーをして帰国していった。
命を賭けた松田優作に男の生き様を感じた
B級アクションスターから、鈴木清順、森田芳光監督の作品を機に、演技派へとシフトしていた彼が久々にバイオレンス・アクションを体現したのがこの『ブラック・レイン』でした。
それは、アクションをメインに活動していた頃の原点回帰でもあります。
始めて見た時の戦慄は、今でも鮮明に覚えています。
最初に登場したレストランのシーンで、ヤクザの親分をナイフで首を掻き切る時に見せた狂気に満ち溢れた、徹底した悪役ぶり。
そして、まばたきを一切せずに睨みつける、あの目力は、他の日本人俳優にはまず、真似することが皆無で最高の迫力と演技力でノックアウトされました。
ただ、恐いだけの悪役では無く、長身なことからマイケル・ダグラスと並んでいても見劣りせず絵になっていて格好いい。
『ブラック・レイン」の時は、すでに癌は末期状況に入っていた。
撮影中、 激痛が起きても癌を隠し、無理してマイケル・ダグラスと格闘するといった撮影をしています。
誰にも自分が癌であるという事を言わずに、医者からも降板して治療に専念するように言われても、撮影を続ける選択を取る。
それは、多くのプロ野球選手がメジャーリーグに挑戦するように、彼もまたハリウッド進出を熱望していたからです。
『ブラックレイン」はその足がかりにしたいという思いから、精魂尽くして演じた。
チンピラからのし上がり、地位を得てもどん欲に本性をむき出しにした佐藤と余りにも似ています。
自分が癌であることを知りながら撮影に臨んだのは有名な話ですが、映画の場面でも菅井に「あんたほど長生きするつもりはねえ」と言い放った佐藤。
今見ると、自分の死期が近いことを悟っていたと感じる。
彼の演技が神がかっているのは、当然といえるような気がします。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=aYzPUa-6BLE
実直な高倉健はやっぱりカッコイイ
『ブラック・レイン』はどうしても松田優作の遺作とあって、彼に評価が集中するのは最もなんですが、この作品の魅力は別にあって、高倉健の人物描写が秀逸なんです。
イギリス人であるリドリー・スコット監督が義理、人情の理解があるのは意外でした。
外国人が日本を描写すると首を傾げてしまうのが多いですから。
高倉健演じる松本警部補は、まさに実直そのもの。
彼のイメージと合い、違和感がなく自然体。
埋没しない存在感の塊で、マイケル・ダクラスやアンディ・ガルシアと並んでも見劣りするどころかカッコイイ。
松本警部補が熱唱する場面はとても微笑ましく好きですね。
ラスト空港で、ニックとの別れのシーンは胸が熱くなり、忘れられないラスト。
握手を求めるニックに対し、「親友はこうするんだ」と手を握り替える松本。
プレゼントに忍ばせる、ドル紙幣の原板。
それに気付いて思わず彼を見つめ、振り返るニックの爽やかな顔。
男泣きする名シーンであります。
個人的に私の中で最高のラストのひとつです。
引用元:http://www.sankei.com/entertainments/photos/141205/ent1412050017-p2.html
マイケル・ダグラスの存在感
一見すると、よくありがちな刑事対ヤクザ抗争モノの範疇に入る映画だけど、『ブラック・レイン』は、そういったジャンルが持っている、安っぽいイメージを見事に払拭し、観る者を惹きつけてやまない作品に昇華させた。
その要因は一体なんなのか?
それは、プロ意識をもった俳優達の圧倒的な存在感と、演技力によるものに他ならない。その中でも、主役のマイケル・ダグラスの存在が大きかった。
実際に、この頃のニューヨークは、殺人事件が毎日のように発生していた。
そんな、過酷な環境で刑事の職務にあっているマイケル・ダグラスの風貌は、いつも、獲物を物色するかのような、目がギラギラとしていて、まるで野生動物のようです。
そんな、はみ出し刑事を演じる彼もまた非常にタフな男です。
ちょうどこの頃は『危険な情事』や『ウォール街』といった作品に主演して、脂の乗っていた時期。
『ブラック・レイン』においても、演技の幅が広く、主役ということもあって、彼だけを追って観ていても充分楽しめる。
特に空港において、健さんとの印象的な笑顔は本当に爽やかでカッコよかった。
ニックが松本に、偽札原版を密かに渡した意味とは?
ニックは、松本から「あなたの行為は、チャーリーや我々に対しても汚す行為だ」と言われ、グサッと心に突き刺さるものがものがあったと思う。
それまでは、ニックの原動からみて、「これを持って帰れば大儲けできる」と思っていたのかも知れない。
だが、自分の目の前で、同僚のチャーリーが殺害され、松本の実直で真面目に捜査に取り組む姿勢を目の当たりにして改心した。
ニックは、松本の心意気に感じて原板を渡した。
友情のしるしとして、言葉で伝えるのは気恥ずかしい。かといって、お金や物を渡したとしても、松本は喜ばないだろう。
なので、「大橋署長を見返してやれよ」といった意味を込めて、名誉を与えたと解釈しました。
また、松本に「これからは心を入れ替えて真面目な警官になるぞという」というメッセージと取ることもできますね。
タイトルの『ブラック・レイン』とは何を意味するのか?
タイトルの『ブラック・レイン』は日本とアメリカの暗い部分を映し出している。ヤクザの親分、菅井がニックに語るシーンから伺える。
「俺が10歳の時、B29に爆撃され、街がなくなっていた。そのあと、黒い雨が降った。お前らアメリカ人は、自分の価値観を俺たち日本人に押し付けた」。
監督はよく、こんなセリフを言わせものだと思う。客観的な立場から、相手の視点に立って見られることがとても素晴らしいですね。
それは、日本とアメリカの警察祖組織に対する日米比較論から、ニックと松本の友情に至るこれは日本とアメリカの戦争中から戦後を表した作品なのかもしれないと感じた。
まとめ
個人的に最高のバイオレンス&クライム映画として捉えている作品。
本作が今でも語り継がれている最もな理由が、松田優作の遺作であるということ。非常な悪役に徹した演技は、当時ガンに侵されていたとは、とても見えない。
次に、リドリー・スコット監督の演出。
大阪の街が、『ブレード・ランナー』の未来都市のような不思議な雰囲気を引き出した。
夕日が照らされた空から撮った鮮やかさ。
派手なネオン、リドリー・スコットが好んでよく使う換気扇が作り出す陰影。
日本がバブルで活気づいていた模様を外国人の視点で、鮮明にフィルムに焼き付きた手腕に頭が下がります。
そして、日本とアメリカによる文化の違いによる摩擦から和解となる物語。
同じ警察官でも、考えの違いから最初は対立していた。
ニックと誠実で捜査の1員であることに重きを置く松本が、共通の敵・佐藤に立ち向かう際に、チャーリーが遺した形見分けのシーンは心に響きますね。
そして、ラストにおける2人の男が固い絆で結ばれた空港での別れのシーンはとてもすがすがしい。
『ブラック・レイン』が観れる動画配信サービス
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