ネタバレ含みますのでご注意ください。
スピルバーグが、世間に認知された作品。
パニック映画としては、もはや古典の名作ですね。
初見は『日曜洋画劇場』から何度も見ているが、初めて見た時の衝撃は今も健在。
サメを倒すまでの高揚感が、ジェットコースターを楽しむかのように、ハラハラドキドキの連続。
巧みな演出で、グイグイ引き込んでいく、さすがエンタメを熟知したスピルバーグ監督。
それと同時に、3人の男たちのキャラ設定も秀逸。
海が苦手な警察署長、気難しい船長、オタクの海洋生物学者という、およそヒーロー然としてないところがグッド。
ストーリーも、「人食いザメが出たから、やっつけるよ!」と至ってシンプル。
それだけにカメラワーク、センスが問われんだけど、同じような題材でも、やっぱり見せ方ってあるんだなーとつくづく実感する。
そんな『ジョーズ』のあらすじと感想をご紹介します。
目次
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あらすじ
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舞台は、アミティ島。
明け方の砂浜で、若者たちが、たき火をしながら、楽しんでいる。
そのグループの1人キャシディは、クリッシーと目が合い、海に誘う彼女を追いかける。
海に入って泳いでいるクリッシー。
そんなクリッシーに、突然、足を大きな力で引きづられ、キャシディに向かって叫ぶが、海の中へと引きづり込まれていった。
赴任してまだ日が浅い、警察署長のブロディ(ロイ・シャイダー)の下に、海に入ったまま行方不明であったクリッシーの死体を発見したと通報を受け、現場に向かう。
死体には、カニが群がり、見るに堪えない状況で、ブロディはショックを受ける。
検視をした結果、死因はサメによる襲撃と断定する。
ブロディは、すぐさま危険性を感じ、海岸の封鎖を実行しようとする。
しかし、遊泳禁止を阻止したのは市長のボーン(マーレイ・ハミルトン)であった。
小さな島であるアミティの収入源は、夏の海水浴に訪れる観光客に依存していた。その為、遊泳禁止ともなれば、島にとっては大きな損害とると言うのだ。
クリッシーが死に至った原因をボーン市長は、船のスクリューに絡まった事故として処理をした。
ひとまず、遊泳禁止はしないで、様子を見ることにした。
砂浜では多くの人々が、海水浴を楽しんでいる。
不安を抱いているブロディは監視を続けている。
ゴムボートで遊んでいる少年に、異変が起きた。
しばらくして、海面が真っ赤な血で染まる。
少年の母親が、サメ退治に懸賞金を出すとマスコミを使って発表。
島の人々が、一堂に市庁舎に集まる。
海岸を閉鎖すると発表するブロディに、意見がわかれていた。
その時、1万ドルを条件にサメを退治してやると豪語する、サム・クイント(ロバート・ショウ)が名乗りを上げた。
しかし、懸賞金目当てに多くの人々が海辺に集まってしまい、島の人々も海岸の閉鎖に関しては複雑な心境だ。
懸賞金の情報に興味を示した海洋学者のフーパー(リチャード・ドレイファス)がやってきます。
フーパーは、最初の被害者であるクリッシーの遺体の損傷から見て、死因は大きなホオジロザメによるものとと断言する。
サメ退治に来ていた男たちによって、一匹のサメを捕まえ、一気に解決ムードとなる。
でも、ブロディとフーパーは、疑問に感じ、捕獲したサメの腹を切り裂いて調べたところ、出てきたものは魚や車のナンバープレートで、人間を食べた形跡がなかった。
2人は事件がまだ、解決していないことを確信する。
ブロディとフーパーは、船で探索をしていると、一隻の船を見つけます。その船は、サメに襲撃され、乗っていた人間は遺体となっていた。
ボーン市長は、ブロディとフーパーの警告に聞く耳を持たず、海岸の封鎖をせずに観光客を受け入れてしまう。
海に突如サメの背びれらしきものが現れ騒然となるが、子どものいたずらとわかり一旦落ち着く。
しばらくして入り江で、サメの背びれを見た女性が大声で叫ぶ。
入り江には、ブロディの息子・マイケルがボートで友達と遊んでいた。
今度は本物の人食いザメが現れ、マイケルたちのボートと別に乗っていたボートが転覆。
マイケルたちは一命をとることが出来たが、別のボートに乗っていた人はサメに食べられてしまう。
その後、マイケルは病院に搬送される。
病院にボーン市長も来ていたことから、ブロディは、サメを退治するために、クイントを雇う契約書に同意させます。
ブロディとフーパーは、クイントと共に、船に乗りサメ退治に出発する。
学者肌でオタクっぽいフーパーと、本能的に行動するクイントとは、どことなく相性が悪い。
その時、船の近くを人食いザメが始めて3人の前に姿を現した。
人食いザメは想像していたよりはるかに大きく、船と同じくらいはあろうかという状況を目の当たりにして、3人は驚愕する。
クイントは、ロープで結びつけた樽をモリを使ってサメに突き刺します。
ところが、人食いザメのパワーは凄まじく、樽は海中に引きずり込まれていた。
その夜、人食いザメとの戦いをきっかけに、フーパーとクイントのわだかまりは溶けて意気投合していた。
クイントは自分がかつてサメに襲われた時のエピソードを語る。
その時、またもや人食いザメが現れ、船を襲い始めます。
ブロディは無線で救援を求めようしますが、クイントが無線を壊してしま外部からの連絡は出来なくなってしまう。
再び、クイントは樽のついたモリを使って、人食いザメを撃ち込みます。船のスピードを上げて人食いザメを追い、更に別のモリで撃ち込む。
タルが浮かび上がったところで、ロープで船を固定します。
だが、人食いザメの力が圧倒的に強いことから、船が耐えきれず故障してしまう。
フーパーは自ら檻に入って、持参した毒薬をモリに仕込んで、人食いザメを仕留めることを提案する。
ブロディは危険だと反対するが、これ以外にもう、対抗する手だては残っていなかった。
フーパーは、毒薬を仕込んだモリを持って、檻の中に入った。その時、人食いザメが船を襲った衝撃で、フーパーはモリを海に落としてしまう。
ブロディが危惧していたとおり、人食いザメは檻にも襲いかかってきた。
フーパーは、間一髪のところで檻から脱出し、一命を取りとめた。
ブロディとクイントは、檻を引き上げたところ、フーパーの姿がないことから落胆する。
人食いザメはふたたび姿を現し、船に乗り上げる。
重さで船が傾き、必至に逃れようとする2人であったが、クイントは甲板に滑って人食いザメに噛み殺されてしまった。
ブロディは、近くにあった酸素ボンベを人食いザメの口に目掛けて投げ込むと、一旦遠ざかっていく。
そして、また、じわじわと船に接近してくる。
船は次第に沈んでいき、もはや海の中にいる状況だ。
ブロディは、何とか沈まないでいるマストに登り、ライフルで酸素ボンベを加えている口を目掛けて人食いザメを撃った。
撃った弾は、酸素ボンベに命中し、人食いザメは爆発し木端微塵となった。
やっとの思いで強敵を仕留めて安堵したブロディの前に、フーパーが海面から姿を見せた。
2人は残っていた樽を使い、浜辺まで泳いで帰るのでした。
ストーリー前半部分の感想
久しぶりに鑑賞して、新たな発見があった。
意外と前半部分は、政治的圧力に警察署長のブロディが翻弄される内容なんですよね。
市長が鮫の恐ろしさを理解しようとせず、島の観光産業を優先で海を開放する。
鮫が出るという事実を隠蔽して安全を主張し、観光客に遊泳をさせて至り。
人はお金が絡むと、後先のことを考えず、目先の利益を優先にしてしまうのだろう。
金>命。
日本においても、人命に係る事象でもあえて放置し、大惨事が起きてから始めて本腰を入れるケースは後を絶たない。
人間ってホントに愚かだとつくづく感じる。
ストーリー後半部分の感想
単なるパニック映画ではなく、テーマは男たちとサメの戦い。
後半は船上でのシーンがメインとなる。
船での操作や罠の仕掛けは、やり方を間違えると大惨事になることから、クイント、フーパー、ブロディの3人がピリピリしていて、緊張感があります。
人間とサメの死闘に観客を引き込むところ。
本編の主人公はもちろんサメだが、いつのまにかブロディの目線で映画の世界に入っていることに気づく。
船室でクイントとフーパーが互いに『名誉の負傷』の傷を見せっこし、談笑する子供っぽさ。
その2人に仲間外れされたみたいな気分のブロディの構図は、男たちの3人の組み合わせの可笑しさが見事に表現されていますね。
突如としてサメが船底を攻撃。
水が漏れ始め、漁船は沈没寸前、最も頼もしいクイントがサメに食われ、フーパーは行方不明。
最も頼りないブロディがひとり闘わざる得ない状況。
最後に残された「逃げ場」は傾いた漁船のマストのみ。
手元にあるのはライフル銃のみ。
不安に駆られながらサメの口に目掛けて投げたボンベがブロディに味方する。
ちゃんと伏線を回収しているんですね。
緊張と恐怖を与える演出
冒頭の場面では全く姿を現さず、緊張感と恐怖感を与える。
そして、あの有名な恐怖感満載の音楽に合わせて迫り来るサメの恐怖。
全長8メートル、体重4トンというホオジロザメが、画面に姿を見せるのは、ほんの一瞬だが、間接描写の見事さもあって、常に意表を突くタイミングでガバーッと現れ、観客の肝を冷やす。
このサメの恐怖や迫力を、カメラワークと演出で見事に表現していて、観ているうちにどんどん恐怖のどん底へと引きずり込まれてしまう。
ファンの間では有名な話で、ディズニーランドの技術者ロバート・マッティの制作したサメのロボットが思うように上手く動かず、襲撃シーンの撮影に困ったスピルバーグが「サメの視点で撮ろう」と言って生み出されたのが、ゆっくりサメが近づいて襲うシーン。
その話を知った時、スピルバーグの発想力とセンスに驚かされたと同時に、いかに限られた予算の中で、観客が喜ぶかを第一に、考える姿勢は、色々と学ぶべきことがありますね。
ブロディが船からエサを海に投げ入れ、いきなりサメが顔をだす。
この場面は何度見ても、マジで怖い。
最後、船にサメが突進してきて、船がぶっ壊れるところは怖さA級!
スピルバーグは、サメをハリボテと謙遜しているけど、クイントが鮫に食われる場面は何度観てもショッキングで、生々しい場面だけどサメの凶暴さが表現され、好きな場面です。
Alternate ending of JAWS in which Quint and the shark open up about their tough childhoods and become friends. #Not pic.twitter.com/bEhZ1e8umI
— The Nitrate Diva (@NitrateDiva) 2015年6月20日
音楽における効果を存分に発揮している
映画ファンで、作曲家ジョン・ウィリアムズを知らない人はまず皆無ですよね。
『スターウォーズ』、『インディジョーンズ』のテーマ曲を作ったことでおなじみ。
『ジョーズ』は音楽による力が大きい。
何でもないシーンすら恐怖あふれるシーンに変えてしまうテーマ曲のパワー。
どうしても、テーマ曲ばかりが注目されがちだけど、その他の音楽も各場面の雰囲気と相乗効果が見事になされていて既に巨匠の片鱗が見えています。
ブロディがクイントの手を離したのはワザとなのか
サメが船に乗り上げた傾いたシーンで、クイントが落ちそうになったところ、ブロディが手を伸ばして握ったが、結局滑って落ちてしまいます。
子供の時観た印象で、あれワザとやったのかと疑っていたのですよね。
では、何でそんな風に思ってしまったのか?
それは、クイントが無線機をバットで破壊し、ブロディが激怒したからです。
クイントが暴走して余計なことをしたばかりに、窮地に追い込まれ、ブロディは根に持っていたように見えたんです。
大人になった視点で、また鑑賞して気づきましたが、もちろんそんなことはないです。
サメの攻撃によって、船が傾き、浸水してしまい、ブロディが必死で握った両手にクイントの全体重が加わり、ブロディ自身のいる足場も不安定な状況だった。
そのため、クイントの両手をずーっと握り続けたり、ましてや引き上げたりするとことは到底無理であったと理解しました。
ブロディにとって、クイントがいてくれた方が心強いですし、わざと手を離すメリットはないと思います。
クイントはなぜ無線機をバットで壊したのか?
クイントは無線機を叩き壊したことによって、自らの死を招くことになったわけですが、では、何でわざわざ命の危険をさらすような行動にでたのか。
それは、クイントの立場になって、気持ちを考えれば、わかってきます。
第2次大戦中、サメに遭遇して、多くの仲間が食べられてしまった経験から、敵を討つために、サメとの闘いをライフワークにしているとブロディやフーパ―に語りかけています。
クイントからすると、これは俺とサメとの闘い。
だから、邪魔をするなといったところでしょう。
助けを呼ぶということは、シャークハンターとしてのプライドが許せなかった。
それとサメを退治したことで、一目置かれ、名誉に対する欲も少なからずあったと思う。
つまり、クイントは自分で手柄を独り占めにしたかったかったので、助けを呼ばないようにした。
無線で駆け付けた人たちは、クイントにとって、邪魔な存在ですからね。
まとめ
シリーズ物において、ジャンルを問わず、第1作目が一番面白いということが多々ありますが、『ジョーズ』もそれに該当しますね。
これ以降、続編が作られたけど、『ジョーズ』を超えるサメ映画はまだ出会ってないです。
余計な部分が一切なく、スッキリとした展開と音楽が織りなす映像は、色あせる事無く、今でも最高のエンターテイメントな作品です。
特に小難しく考える必要はなく、巨大ザメが海水浴客を襲う!それに怒った三人の男たちが巨大ザメと戦う!これだけでも楽しい。
とにかく、面白い作品を創ろうという心意気が存分に伝わってくる。
27歳という若さで監督を務めたスピルバーグの才能を世界中に知らしめたこの映画はまさに映画の教科書ともいえます。
『E.T.』、『ジュラシック・パーク』は、『ジョーズ』で培ったエンターテイメントの手法が全て使われていることに改めて気づいた。
社会的ブームを巻き起こした映画史殿堂入り級の作品であり、私の人生で、今後何度も鑑賞する数少ない1本です。