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シャドーイングとリピーティングの違いとは?

シャドーイング(shadowing)とは、「影」を意味する「シャドウ」(shadow)という言葉から推測できるように、外国語の勉強において、外国語の言葉を聞いて、直ちに同じ言葉を発音することです。

以下で述べるリピーティングなどと組合わせて繰返し練習することで、ヒアリング力がつき、通訳能力が向上すると言われています。

英語をある程度話せるが、「相手の言うことを正確に聞き取るのが苦手」という人に最適な学習方法です。ぜひ、実践してみて下さい。

シャドーイングとは?

一般に、シャドーイングとは、プロソディック・シャドーイング(prosodic shadowing)を意味します。

これは、聞いた言葉や文章の意味を理解することに注意を払わず、正確に素早く、聞いた音声をそのまま反復して発音することです。

【注】 prosodicとは、「韻律的な」という意味の形容詞です。

歴史的には、プロの同時通訳者を目指す人が、ヒアリング力を高めるために、シャドーイングを取入れた練習を行っていたようです。

同時通訳者は、耳で聞いた外国語(または日本語)の意味・内容を理解しながら、それを日本語(または外国語)に翻訳し、発声し、その発声中も、外国語(または日本語)を聞き続けるという、私のような素人には神業ともいえるような翻訳作業を行っているわけです。

生理学的プロセス

耳から聞こえた音の振動は、鼓膜から耳小骨を経て、蝸牛に伝わり、そこで液体の振動に変換されます。

蝸牛管内のコルチ器で、振動が電位に変換され、電気信号は脳側頭葉上部に位置する聴覚野に伝わります。

音の信号は、聴覚野で2方向に分かれ、一方は頭頂葉後部と前頭前野背外側部に向かい、空間認知機能を果たします。

他方は、ウェルニッケ言語中枢、前頭前野腹側部および前頭葉眼窩面皮質に伝えられ、言語情報処理を行います。

この連合野と呼ばれる大脳皮質で、感覚情報の統合、過去の記憶の呼び覚まし、言語構成、随意運動、作業記憶などの高度な脳機能を実現します。

通訳作業は、翻訳作業に加えて、口・舌・声帯・肺などを稼働させる運動機能をつかさどる前頭葉を活性化させます。

シャドーイングの場合は、聞こえた音声信号を連合野で言語処理することなく、直接的に前頭葉の運動機能へ伝達し、発声機能を働かせることになります。

したがって、聞こえた音は、必ずしも言語である必要はなく、歌でも、動物の鳴き声でも構いません。もちろん、まったく理解できない外国語であっても可能です。

乳幼児が、母親の声を真似する行動と類似の行為ですね。

リピーティングとの違いは?

リピーティング(repeating)は、シャドーイングと似ていますが、最大の違いは、リピーティングの場合は、無意識の内に(または意識的に)、聞こえた外国語を日本語に翻訳し、理解した上で、元の外国語で復唱・発声することになります。

したがって、あるまとまった1音節または1文を聞き終わった後に、復唱します。

その結果、相手(外国人)の発声法・アクセント・ニュアンスなどが、必ずしも忠実に再現されず、どちらかといえば、私流の外国語の発音・発声になる可能性があります。

もちろん、この方法の後半部分(外国語の理解~発声)は、外国語会話において重要な要素ですから、リピーティングを繰返すことは、外国語上達に有効な方法の1つではあります。

シャドーイングの効果

シャドーイングは、イヤホンなどで音声を聞いた後、直ちに復唱する方法で、言葉の聞き取りと復唱・発声の時間間隔は、1~2音節、0.2秒間程度といわれています。

一般に、外国語をリピート(復唱)するよう指示された場合、自然にその文法構成や意味を理解した上で、復唱しがちですが、この「外国語を理解する」機能をバイパスするのが、シャドーイングです。したがって、原音声の口調などの模倣がリピーティングよりも忠実に行われます。

同時通訳者は、プロソディック・シャドーイングでトレーニングを重ねた後、シャドーイングをしながら、意味の理解・解釈にも注意を払う、コンテンツ・シャドーイング(contents shadowing)の練習に入ります。

 

まとめ

外国語のヒアリングには、

  1. 外国人の発音に慣れ、正確に聞き取れることと、
  2. 話の内容が、文法的にも、語彙的にも、日本語としても、理解できること、

の2つが同時に満たされていなければなりません。

シャドーイングとリピーティングを組合わせて行うことは、上記1.のトレーニングには有効ですが、2.のトレーニングには、ほとんど効果がありません。

外国語での会話や映画鑑賞においては、2.も忘れずに勉強を続ける必要があります。

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