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映画『野獣死すべし』感想と抽象的なラストの考察を紹介します

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ネタバレ含みますのでご注意ください。

『蘇える金狼』とは正反対の作風。

その為、『遊戯シリーズ』や『蘇える金狼』における松田優作のイメージとは一線を隔す作品です。

もちろんガンアクションはあるにはあるけど、これまでのアクティブさが無い分、物足りなさを感じるのも歪めない。

しかし、役作りの為に減量して奥歯を抜いて臨んだ優作の妖気が、人を殺すと言う行為自体に慣れた狂人「伊達邦彦」を演じています。

演技が上手い下手とかでない、凄みを感じました。

好き嫌いが別れる作品だけど、優作作品でも好きな映画のひとつです。

そんな『野獣死すべし』のあらすじと感想をご紹介します。

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あらすじ

予告動画はこちらになります。 ↓ ↓ ↓ ↓

伊達邦彦(松田優作)は、通信社の元カメラマンで、かつて内戦を取材して歩き、現在はフリーの翻訳家。

趣味はクラシック音楽を好む孤独な青年。

そんな彼が、警視庁捜査一課員を刺殺し、拳銃を奪って暴力団の違法カジノを襲い、お金を強奪する。

この資金をもとに、次の標的を東洋銀行に決めた伊達は現場のリサーチを試みるが、防犯体制が厳重であることから、単独で実施するのは難しいと判断。

伊達は相棒となる男を探すことになる。

捜査官と違法カジノを襲撃した犯人を追っていた刑事の柏木(室田日出男)は、180cm以上の大柄で、幽霊のような存在の伊達を街で目撃し、犯人の特徴と似ていることから、興味を持ち、執拗に尾行するようになる。

大学時代の友人たちと集まったレストランの席で伊達は、ウェイターとして働く真田(鹿賀丈史)に興味を抱く。

真田は、短気で喧嘩っ早く、代り映えしない生活に不満をもっている。

伊達は、真田と共通の部分を見出し、行動を共にすることになる。

東洋銀行で現金を強奪する計画を真田に伝え、最初は躊躇するが、段々と伊達の色に染められ「動く標的」として恋人の殺害を実施し、理性が崩壊していく。

ついに、伊達と真田は東洋銀行を襲撃する

そこには、クラッシクコンサートで知り合った華田令子(小林麻美)が客として居合わせるという、予期せぬ事態が起きる。

警備員及び銀行員達を容赦なく殺害し、地下金庫から大金を収奪した伊達は、逃走を図る時、執拗に見つめる令子の姿が目に留まった。

伊達はマスクをはずし、驚いた令子を前にしても、躊躇することなく拳銃で殺害する。

追手の警察を逆手にとり、突破したかに思えたが、別の事件に向かう途中に伊達を目撃した柏木は、伊達を追うことにする。

電車の中で、伊達に近づく柏木。

柏木が持っていたラジオから銀行強盗のニュースが流れる。

一人だけ一般のお客であった令子が死亡した事を告げられると、かつて伊達と一緒にいるところを目撃していた柏木は、伊達が銀行強盗の犯人だと断定し、拳銃を向け尋問を始める。

真田が背後から現れ、柏木に銃を突き付けたことにより、銃を伊達に奪われる。

伊達はロシアンルーレットをしながら「リップ・ヴァン・ウィンクル」の話をして、柏木を追いつめる。

柏木は恐怖の余り逃げ出すが、伊達に撃たれて死んでしまう。

伊達と真田は電車から飛び降り、廃墟に逃げ込むが、かつて体験した戦場での出来事が思い出され、発狂して真田を射殺してしまう。

松田優作のナルシズム溢れる演技に圧倒される

松田優作が単なるアクション俳優から脱皮を図った、転換期となる作品。

これまで演じてきた男気溢れるカッコよさも好きだけど、この映画では病人のように蒼白い顔、ゾンビのように肩を落とし猫背になって歩く姿は、肉体派の面影は微塵もない。

室田日出男と列車内でロシアンルーレットをする場面の優作の輝きがまるで無い虚ろな瞳は、まるで爬虫類のように、獲物を物色するかのように睨む「目力」が凄く、もう完全にいっちゃっていますね。

実際にあの顔と対面したら、正視できない。
狂気を爆発させる圧倒的な芝居。

人はどこまで野獣になれるのかをとことん追求する。

長回しのアップで気づいたけど、まったくまばたきをしていないのは驚き。

それを演技でやっているから、ホントにつくづくすごい人だと思う。

役者ってとんでもない職業だなと分かりやすく感じるのが壮絶な役作り。

役作りを追求した俳優といえばロバート・デ・ニーロを思い浮かぶが、日本でいえば、間違いなく該当するのが松田優作。

思うに『タクシー・ドライバー』におけるロバート・デ・ニーロの演技に多大な影響を受けたであろう役作り。

見方によっては、独りよがりによる自己陶酔と捉えられなくはないけど、これだけ観る者を圧倒させる存在は世界の中でも稀有でしょうね。

後、同じ村川監督とコンビを組んだ『蘇る金狼』についての記事も書きましたので、合わせてご覧ください。

室田日出男と鹿賀丈史も凄い

松田優作の演技も凄いけど、共演者の演技も目を見張るものがあります。

その中でもすごい役者が二人います。

一人は、柏木刑事を演じた室田日出男。

銀行強盗の容疑で優作を追う室田日出男は、ラジオのニュースで一般客であった小林麻美が殺されたことが判明したことから、列車の中で対峙する『リップ・ヴァン・ウインクル』の話をしながらロシアンルーレットするシーンです。

優作の淡々としながらも静かな狂気を現す演技も凄いが、引き金を引くごとに恐怖におののく表情から額に冷や汗がドッと流れる。

本物の汗のように思うけど、演技を超越したやり取りは、凄い。

もう一人は、優作に引けを取らない存在感を示した鹿賀丈史。

喧嘩っ早い相棒のチンピラ役を見事に演じました。

初登場シーンにおける「おい!なに見てるんだおまえ!」これだけで、完全に気に引き込まれます。

ギラギラとした目つきにアフロヘア。
確実にしびれます。

何のためらいもなく、次々に射殺していく銀行襲撃のシーンは、人を殺すことの快感を体現しているかのような演技とわかっていてもビビってしまう程の迫力。

初見の人は、鹿賀丈史におけるイメージが変わります!

抽象的なラストシーンの解釈

ラストシーンは、伊達が居眠りから目が覚めると、コンサートホールにひとり取り残されている。

外に出たところ、自分が殺した柏木が血を流した状況で立っていて、伊達は狙撃されたがのように倒れ込む。

そこで、カメラが引いていき、終わりとなる。

この部分が抽象的に表現して、明確にしていないことから、色々と解釈がされている。

映画は必ずしもストーリーがすべて収まる必要はないんじゃないかなとわたしは思っている。

そこで、私なりに解釈するとしたら、伊達は戦場カメラマンとして、というものを直接肌で感じたことによって、死ぬことや殺すといった魔力に取り憑かれてしまったのではないかと考えられる。

それで、人を殺すことに快感を覚えたり、躊躇なく平気で人を殺していくワケなんだけど、最後は自分がを迎える高揚感を堪能することに行き着いたのではないかなと思う。

なので、死んだと思われた柏木の幻影を見て動揺し、戦場での経験がフラッシュバックされ銃撃されたような感覚に陥り撃たれたようなフリをしてみた。

あるいは、本当に撃たれたかもしれない。

そして、自らの死をもって、最高の快楽を得て、野獣は消えた。

また、夢オチっていうのは、確かに話としてはキレイに収まりがいいけど、それだと、アイデアに行き詰ったマンガでよく使うパターンと一緒で、あまりにも素っ気ない。

あれだけ狂気に満ち溢れた演技が、実は夢オチでしたで片付けられるのはちょっと納得いかないかな。

伊達の狂気による妄想が入っているのは、充分アリだと思うけど、実際に起こったことと、妄想の部分の境界線は、そんなにこだわらなくてもいいかと感じる。

日常生活を何も考えず淡々と暮らす一般庶民と、戦場で人の生死を間近で見たことによって、心に傷を負った伊達との対比みたいなものが『野獣死すべし』のテーマではないかと解釈した。

伊達とリップ・ヴァン・ウィンクルの関連性

伊達がピストルを使って、柏木刑事に脅しながら話した「リップ・ヴァン・ウィンクル」は、伊達と重ねて見ることができます。

まず「リップ・ヴァン・ウィンクル」の話はこんな感じです。

リップ・ヴァン・ウィンクルは山に狩りに出掛け、小人と出会ます。そこで、彼らから美味しいお酒を御馳走になりまが、飲み過ぎて寝てしまい夢を見ます。

その夢とは、どんな狩りでも許されるというものでした。

でも、その夢がクライマックスに達したころ、目を覚ましてしまう。辺りを見回すと小人がいなくなり、森の様子も変わっていた。

そこで、家に戻ったところ、すでに妻は亡くなっていた。つまり、リップ・ヴァン・ウィンクルが寝ている間に時間が経過していたというお話です。

伊達はかつて、通信社で戦場カメラマンとして仕事をしてきたリップ・ヴァン・ウィンクルの「素晴らしい夢」とリンクしている。

伊達は、戦場カメラマンとして、生死の狭間をリアルに体験していくうちに、殺人の快楽を覚えた。それがわかるのが、ベイルートにおいて、ゲリラ兵を撃ち殺したと打ち明けているからです。

その時以来、狂気に目覚め、殺人の快楽に取り憑かれ、戦場を彷徨うようになった。

戦場カメラマンとしての職務を利用して、本能にしたがって殺人を繰り返す。ターゲットを見つけて殺害するのは、まさにどんな狩りでも許されるリップ・ヴァン・ウィンクルが夢で見たいたものと同じ心境です。

そんな伊達にとって、通信社からの帰国命令は不本意な仕打ち。

そして、いざ日本に帰国して見た光景は、リップ・ヴァン・ウィンクルと同様、戦場とは裏腹に平和で豊かな状況に愕然として、ひとり取り残されたかのような孤独感を味わい、次第に感情が抑えきれなくなり、暴走したと感じた。

まとめ

『遊戯シリーズ』、『蘇る金狼』、『探偵物語』と多くの作品でコンビを組んだ村川透監督との製作過程でのやりとりで、松田優作が思い通りの演技ができた作品。

現在では考えられないキャスティングは、よき1980年代のTVドラマ・日本映画のすばらしさが感じられる。

やはり、この時代の映画やドラマは見応えがあるし、最近流行のしょうもない映画やドラマを観ているよりずっと面白い。

改めて鑑賞すると再認識させられる点も多いですね。

この頃の俳優は、大なり小なり一癖も二癖もあって、それが魅力的だったし、見応えに繋がっていたと感じる。

本作で松田優作は、伊達のイメージを作る為に奥歯を4本抜きましたし、映画に賭けるストイックさが私は好きです。

確かに、荒唐無稽な部分は多々あるけど、リアリティを重視する余り面白みが欠け、味気ない現代ドラマ、映画と比べても、私は荒唐無稽な70~80年代の映画を選ぶし、観たいと思いますね。

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