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映画『二百三高地』のあらすじと感想をご紹介します

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ネタバレ含みますのでご注意ください。

戦争映画、特に日本の映画の場合、どこか辛気臭く「いかにもここで泣け」と言う過剰な演出が鼻に突き、もっとも苦手なジャンル。

しかし、本作は日露戦争を題材にしていることと、『八甲田山』を鑑賞してから、近代史に多少興味がもったことから鑑賞。

脚本が『仁義なき戦い』シリーズの笠原和夫だけあって、セリフのやり取りが小気味よく、かみ砕いていてわかりやすい。

兵隊たちの悲哀ドラマに力点がおかれ、戦争場面も突撃しては全滅してしまう描写は凄まじく、何の疑いもなく死んでいく兵隊たちの姿は実に悲惨である。

ストレートに戦争の愚かさ、醜さを表現しており、色々と考えさせられる。
そんな『二百三高地』のあらすじと感想をご紹介します。

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『二百三高地』の基本情報

公開年度:1980年
上映時間:184分
監督:舛田利雄

舛田利雄監督は1927年(昭和2年)10月5日生まれ、兵庫県出身。
劇場版『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの脚本・監督。

アイドル映画の傑作といわれている『ハイティーン・ブギ』。
テレビでは『大都会PERTⅡ』などの日本テレビのアクションドラマを監督されています。

まさにエンターティメントの監督であることが伺えます。

主要登場人物・キャスト

仲代達矢

1932年(昭和7年)12月13日生まれ、東京都出身。

無名塾を自宅で主宰し、多くの実力ある俳優を輩出しています

出身俳優は、役所広司、益岡徹、滝藤賢一など。主な主演は、『用心棒』、『影武者』、『乱』。

本編のラスト、戦勝報告書を明治天皇に向けて読みながら号泣する仲代達矢の一世一代の名演に魂を揺さぶられる。

丹波哲郎

1922年(大正11年)7月17日 - 2006年(平成18年)9月24日(84歳没)

セリフを覚えてこないことで、撮影はカンペを使うことでも有名。

大作映画の脇役では欠かせない俳優。主な主演は、『007は二度死ぬ』、『砂の器』

児玉源太郎が暖炉にあたっている指揮官たちに対して、恫喝するシーンは緊張感があり、とても台本を読んで役作りをしていないとは思えないですね。

あおい輝彦

1948年(昭和23年)1月10日 生まれ、東京都出身。

ジャニーズ事務所の元祖アイドルグループ『ジャニーズ』の出身。

私たちの年代だと『あしたのジョー』の矢吹丈のイメージが強いかな。

声優以外の方がアニメのアフレコをやる初めてのケースだけど、ジョーのイメージにピッタリでした。

主な主演は、『犬神家の一族』、『水戸黄門』

トルストイが好きな文学青年が、戦争を通じて人格が変わり、最後ロシア兵と揉みくちゃになって目玉を潰すところは、観ていて辛かった。

夏目雅子

1957年(昭和32年)12月17日- 1985年(昭和60年)9月11日(27歳没)。27歳という若さで亡くなった伝説の女優。

『西遊記』の三蔵法師は後に多くの女優が演じたけど、夏目雅子には適いませんね。

主な主演『鬼龍院花子の生涯』、『瀬戸内少年野球団』、『時代屋の女房』。
男臭いドラマに気品と美しさを兼ね備えた彼女の存在は癒されます。

あらすじ

日露戦争の最大激戦地となった『旅順』の攻略に際しての前哨戦・二百三高地攻略を描く。

こちらが『旅順』の場所になります。↓ ↓ ↓ ↓

二十世紀初頭。明治政府は朝鮮半島と中国にロシアの勢力拡大が続き、日本への脅威は日増しに高まっていた。

そのことから、日本国内では開戦論が高まってくる。

伊藤博文(森繁久彌)は開戦に当初反対だったが、陸軍参謀本部次長の児玉源太郎(丹波哲郎)から、早く開戦しないと日本が危ないと諭されたことにより、開戦の方向に考えが変わる。

ついに、明治天皇(三船敏郎)の御前会議において、開戦が決定する。
それによって、多くの民間人が徴兵される。

トルストイを敬愛する小学校教師・古賀武志(あおい輝彦)は、神田のニコライ堂のロシア語講座において、松尾佐和(夏目雅子)と知り合う。

古賀と同じ時期に徴兵されたのは、留置場から引き出されたヤクザの牛若(佐藤允)。

妻に先立たれ幼い子供を残して収集された米川(長谷川昭男)。

豆腐屋の息子で、軍隊でラッパ吹きに憧れる木下(新沼謙治)。

太鼓持ちを生業としている梅谷(湯原昌幸)。

古賀は、彼らの小隊長となる。

彼らの属する第三軍は旅順を攻撃するが、司令官の乃木希典(仲代達矢)、伊地知参謀長(稲葉義男)の指揮の下、攻略が難しく、苦戦を強いられていた。

難攻不落な要塞の前に突撃した兵士たちによる死体の山を築くのみであった。

それでも、忠誠心に燃え、果敢に攻め入る兵士たちは全くひるむことなく、突撃するたびに負傷者は増えるが、攻撃を辞めようとしない。

乃木と参謀たちが、『旅順』の陥落に手間取っていることに業を煮やした児玉は、自ら旅順にやってきて、陣頭指揮を執り作戦を変更した。

それから戦局は、一転して日本が有利になる。

しかし、日本側が好転したとはいえ、古賀はかつての平和主義者だった面影はなく、仲間を亡くしたことによる復讐の鬼となっていた。

旅順の要塞で、ロシア兵と素手で殺し合いをやって古賀は息絶える。

見事『旅順』は陥落し、日本海海戦においても勝利を治め、日本はロシアに勝った。

乃木は明治天皇を前にして戦勝報告するが、多くの尊い命を犠牲にしたことに責任を感じ泣き崩れる。

『二百三高地』に日本映画の底力を感じた

何といっても主演している役者が豪華絢爛。

乃木大将に仲代達矢、明治天皇に三船敏郎、児玉源太郎に丹波哲郎、伊藤博文に森繁久彌。

あおい輝彦演じる古賀が率いた第三部隊を中心として物語は、俯瞰的な視点で描かれている。

二人の息子を戦地で亡くした乃木大将の悲痛な思いと、トルストイに心酔していた古賀が戦地において部隊の仲間が死んでいく姿を目のあたりにし、復讐に燃える姿は戦争の酷さを対比してみせている。

古賀を取り巻く、第三部隊の兵隊たちも個性豊か。

特に印象に残ったのが、幼い子供を残して部隊に収集された米川は心配になり、脱走を図るが、それに同情した牛若が銃で米川の指を撃てば除隊できると持ち掛けるが、米川は思い留まる。

『仁義なき戦い』シリーズで群像劇を得意とした笠原和夫が脚本を担当しただけあって、ツボを押さえている。

日本の戦争映画はおおむね、歴史的背景を下敷きにヒューマニズムや反戦を訴えるテーマがメインに描いていくのが多い。

『二百三高地』は、『旅順』における攻防戦という局地的戦闘、すなわち戦いを一極集中的に描いていることが、他の戦争映画と違うところ。

戦争というものをこれでもかというぐらい、凄惨に取り上げている。

ロシア軍が機関銃を構えているところに、何も防具なしに突撃の号令の下、ただ突撃して撃沈。

兵隊たちはバタバタと倒れていき、それでも果敢に進んでいく。本編の中心は、この繰り返し。

多くの死傷者の犠牲から旅順の陥落は成功する。

果たしてこれが本当に成功といえるのか、あまりにも苦い勝利。

本編のラスト、戦勝報告書を明治天皇に向けて読みながら号泣する仲代達矢の一世一代の名演に魂を揺さぶられる。

それを慰める明治天皇の姿が、勝利の喜びよりも苦しさを象徴して胸を打つ。

日本にも、これだけの戦争映画があるんだと、思い知らされましたね。

乃木希典は愚将だったのか?

司馬遼太郎の『坂の上の雲』によって、乃木希典は愚将として扱われているのに対して、児玉源太郎はピンチの局面を打開したヒーローとして描かれている。

本作においては、司馬遼太郎の描いた児玉源太郎のイメージを吸収しつつ、乃木を単なる愚将と描かず、俯瞰した立場で捉えている。

現状ではどうすることもできず、無茶な要求に板挟みとなって苦しむ生真面目で実直な男の悲劇として捉えることが出来ますね。

乃木の軍司令官としての資質は、旅順をわずか五ヶ月で陥落させた。これはまぎれもない事実。

凄惨な攻城戦の中で、軍の士気を維持し得たことは賞賛に値する。

戦略的観点からみても名将ではないかな。

確かに映画では、いいところを児玉が持っていた感じで、乃木が愚かな司令官と捉えてもしょうがないけど、情が厚く、自分に厳しい人柄。

乃木は『旅順』で多くの死傷者を出した責任を感じ、明治天皇への戦況報告する御前会後において、自害する覚悟でいたとのこと。

しかし、その事を事前に知っていた明治天皇によって、自害を止められます。

明治天皇崩御後、妻と共に自害していることから、最後の侍のような人物に感じた。

参考文献:乃木希典と日露戦争の真実 司馬遼太郎の誤りを正す/ PHP新書

日露戦争とは?

日清戦争は1894年(明治27年)7月25日から1895年(明治28年)にかけて、日本と清国(中国)が朝鮮半島を巡って行われた戦争。

日本は清国に勝利したことによって、清国からの長きにわたる支配を辞めさせ、朝鮮を独立国とした。

このことに欧米列強は驚愕します。

特に衝撃を受けた国はイギリス、アメリカ、ロシア。この3国は、世界の覇権を争う緊迫状態。

日本が清国に勝ったことに関して、イギリスとアメリカは好意的に捉えたのに対して、ロシアは敵意を示し、『三国交渉』となります。

ロシアがドイツ、フランスと結託し、日本に対して清国の遼東半島の領有権を放棄するよう圧力をかけてきたのですね。

ロシアの侵略を食い止めるためにも、遼東半島は死守すべき重要な地域なので、日本は屈服することができなかった。

しかし、当時の日本の国力ではとてもロシア、ドイツ、フランス3国を相手に戦争をしても適うはずがないことから、渋々遼東半島を清国に返還。

ロシアはそれを見返りとして、清国に対し遼東半島を借りるという名目で領土を手に入れ、更に領有権を主張し、しまいには朝鮮半島のすぐ近くに軍を配備する始末。

これによって、日本は危機的状況に陥り、1900年にイギリスと同盟を結びます。

これが日英同盟。

日本は『日英同盟』を結んだイギリスと友好関係のアメリカによる支援により、ロシアと戦争になります。

これが日露戦争の経緯です。

映画をより楽しむためのおすすめ書籍

乃木将軍の真実がわかる

司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んで感銘を受けた人は、注意して読んでください。

たくさんの史実をもとにして、徹底的に調べ上げ、本書を読むと乃木希典に関しての見方が変り、映画と違った視点で観ることができます。

まとめ

日露戦争については、旅順攻略やバルチック艦隊を撃破した日本海海戦の話ぐらいしか知らなかった。

だから、ほとんど知識が無い状況で鑑賞。

この映画を通じて、「日露戦争とはなんだったのか」を改めて考えるきっかけを作ってくれた。

冒頭部分で、ロシアが朝鮮半島を支配する脅威から守るために戦わざるを得なかった状況は単なる侵略ではないことがわかり衝撃的でしたね。

仮に日本がロシアに負けていたら、今の繁栄はまずありえない。

異国の地で孤軍奮闘し、日本を救った先人たちに感謝をしたい。

歴史を知る意味で、是非鑑賞することをおススメします。

『二百三高地』が観れる動画配信サービス

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