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映画『砂の器』なぜ和賀は三木を殺したのか考察しました

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ネタバレ含みますのでご注意ください。

原作は前に読んでいて、物語は把握いていた。

感動した小説に対しては、映画版を拝見することが恐くなることもあるので、今回評価が高いこともあって観賞してみた。

感想は良かったです。

内容、展開は当たり前ですが申し分なかった。
セリフがないけど、本浦親子のせつなくて、哀愁漂うほどの旅路のシーン。

病におかされているとはいえ、たったひとりの父を慕う子の姿。
本当に胸がつまりました。

後、本作は日本各地の景色が多く見ることができ、この時代のリアルな生活感が映し出されている。

昭和の日本はこんな暑さだったなぁ、というのを随所に聞こえてくるセミの鳴き声で実感できた

キャストも鬼籍に入られた俳優さんが多く、昭和の映画俳優たちは役に重みがあったなあとつくづく感じますね。

そんな『砂の器』のあらすじと感想をご紹介します。

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あらすじ

昭和46年6月24日早朝、東京国鉄蒲田操車場で男性の撲殺死体が発見される。

推定年齢50~60歳で身許不詳だったけど、亡くなる数時間前に近辺のバーで若い男と一緒におり、その時被害者は東北弁訛りで「カメダ」という言いまわしを繰り返し話していたことがわかりました。

警察は「カメダ」といった人名・地名を調査し、ベテラン刑事の今西(丹波哲郎)と若手刑事の吉村(森田健作)は秋田の亀田という名の土地に捜査に出向くが、手がかりは見つけ出せなかった。

その後も捜査は進展せず、捜査本部は解散され継続捜査という形になる。

吉村は被害者と一緒にいた男が白いスポーツシャツを身につけていた証言を受け、そのシャツに返り血が付着したとすれば間違いなく現場付近に捨てるはずと推理する。

そんな矢先、新聞のコラムで中央線の列車の窓から白い紙吹雪のようなものを撒いていた女の話を読んだ吉村は、それは紙切れでなく布でないかと疑い、新聞社に尋ねてみたところその女は銀座のバーに勤めているホステスだと教えられる。

吉村がバーに足を運ぶと、コラムの女である高木理恵子(島田陽子)は中央線に乗っていたことを否認し姿を消してしまう。

丁度そのバーには、未来を嘱望とされている天才ピアニストで作曲家の和賀英良(加藤剛)と恋人で前大蔵大臣・田所重喜(佐分利信)の娘・佐知子(山口果林)の姿を確認することが出来た。

8月9日被害者の身元がわかります。

岡山の雑貨商を営んでいた三木謙一(緒形拳)で、お伊勢参りに出かけると言って旅に出たきり連絡が無くて家族が捜索願を出したのです。

しかし三木の養子の息子は、三木はおおらかな人柄で人の恨みを買うなんてことはなくて、東北弁を用いないし「カメダ」という言葉にも思い当たる節がないといいます。

万策尽きた今西が言語学者に相談すると、出雲地方には東北弁と似通ったズーズー弁で話す地域があることが確認できました。

今西は出雲地方の亀嵩(かめだけ)という土地で、三木が過去に巡査として勤務していた事実を突き止め、確認に向かいます。

ところが亀嵩の三木を知る人たちは口をそろえて、三木は責任感の強い人情家の警官で多くの人から慕われていたと証言しました。

その頃、吉村はたった1人で中央線の線路を納得のいくまで捜索して白い布切れを探し出します。

鑑識で調査したところ、被害者と同じO型の血液が付着していた。
警察は高木理恵子を緊急手配しますが見つけ出せません。

理恵子は和賀英良の愛人で和賀の子を身籠っていたが、流産のため道路上で倒れ込んで死亡し身元不明の行き倒れとして処理していた。

三木の足取りを追う今西は自費で伊勢に調査に出向きます。

旅館で三木が2日続けて同じ映画館に行ったことを知った今西は、その映画館で和賀英良の写真が壁に飾ってあるのを発見します。

和賀は発表会に向けて、「宿命」の曲作りに取り組んでいた。

今西は亀嵩で三木が放浪の父子を助けた話を耳にしたのを思い出し、本浦千代吉(加藤嘉)の故郷である石川県を訪問する。

そこで親族から千代吉が昭和17年に妻と離婚6歳の息子秀夫をと一緒に村を出た背景を聞きます。

和賀英良が本浦千代吉の息子・秀夫であり、三木謙一殺しの真犯人であると確証を得た今西は、10月2日警視庁の合同捜査会議において、事件の全容を話します。

同じ日、交響曲「宿命」を披露する演奏会で指揮をしつつピアノを弾く和賀の胸中に、幼少時代の記憶が鮮やかに思い出されます。

29年前、本浦千代吉は、故郷の村を逃げるようにして、幼い秀夫を引き連れて旅に出る。

千代吉は、当時不治の病とされていたハンセン病を発症したからです。

父子は野宿で飢えと寒さに震え、行く先々で病に関する思い込みから迫害にあいます。
亀嵩にやってきた時には、千代吉は衰えて動けなくなる。

三木巡査は千代吉を入院させた後秀夫を自分自身の子として育てようとしましたが、秀夫は逃げて行方不明となったのです。

伊勢の映画館で、成長した和賀の写真を見た三木は、失踪した秀夫だと確信し急遽東京に来たのです。

三木は和賀の秘密を口外するような人物でではないけど、残り少ない命の父親に顔を見せに行くようしつこく問い詰められて殺されたのです。

三木は秀夫が失踪してから現在まで、千代吉と文通を継続して秀夫を捜し出し千代吉に会わせることを約束していた。

今西が療養所の千代吉を訪問して和賀の写真を示すと、千代吉は泣き叫びます。
でも、秀夫をかばい「こんな人、知らねえ!」と息子と認めません。

今西と吉村は逮捕状を持ち、和賀の演奏が終わるのを待っていた。
演奏を終えた和賀は、全てを出し切り穏やかな表情であった。

和賀はなぜ三木を殺したのか?

ハンセン病に対する差別が、実際にあったことを理解していないと、和賀の殺害動機を理解することは難しい。

これがわかっていないと、「殺害の動機としては弱い」とか「今の日本で、そんな理由で殺人するなんておかしい」といった的外れな解釈となってしまいます。

まず、ハンセン病はかつて遺伝と考えられていて、子孫を残さないようにするというような政策あるいは差別がありました。

現在に置き換えて考えれば、親が犯罪者だということで、村八分みたいな差別を受ける感じですが、当時のハンセン病に対する偏見と差別は、これと比べ物にならない位、相当に酷いものであることが推測できます。

また、ハンセン病の治療にあたった医師や看護師の人は、親から勘当されたりとか親戚との縁を切られるといったことが行われていた。

みんなと同じでなければいけないという日本における農耕民族特有の価値観が生み出した因習によって、和賀は苦しみ続けてきた背景があります。

三木は和賀を自分の子供として育てようとした立派な人格者であったが、多少強引なところがあった。

突然、和賀の前に現れた三木は、父親が生きていて一目会いたいと言って、2人を会わせようとします。

三木は、父に会うと取り掛かっている仕事に支障がきたすからと和賀に断られても、聞く耳を持たずに、しつこく食い下がります。

和賀にとっては、なんで三木がこれほどまでに、自分と父親との関係にこだわり、踏み込んで来るのか理解できず許せなかった。

それだけでなく、自分の過去を知る三木は、邪魔な存在でもある。

過去を振り切ったからこそ、現在の成功があるので、揺るぎない基盤を作る大事な局面に差し当たっていることから、やむにやまれぬ思いで殺害に及んだのだと思います。

三木が和賀の写真を見て気付いた理由とは?

三木は、6月20日に映画館へ足を運び、それにもかかわらずあくる日もう一度確認のために行きます。

坊主頭の子供と有名人の和賀英良が結びつく決め手となったのは、古部村において巡査に受けた額の傷であると思います。

その結果、予定を急遽変更して東京へ向かい、和賀と2度会っている。

作曲家として和賀英良はいまや有名人で、列車のウエイトレスがサインをもらいに来たり、新聞に顔写真が載っている記事がある場面から判断することができます。

しかし、三木は和賀英良が秀夫であることは知らなかった。

それは、24年間三木と千代吉の50通に及ぶ手紙で和賀を探していたことを綴っていたことが物語っています。

和賀が父親との再会を拒んだ理由

三木が和賀に対して「父親と再会することによって、なんで仕事が駄目になるんだ」といったセリフがあります。

この「駄目になる」というのが、一見すると和賀が苦労して築き上げた社会的地位を失ってしまうと捉えがちですが、『宿命』を完成させるために、あえて再会を拒んだと考えることができます。

そもそも『宿命』は、ハンセン病となった父親と再び会うことが出来ない想いを綴った曲。

なので、曲が完成する前に、父親との再会は出来ない。または、父親との想い出を捨て去る意味での『宿命』。

だから、三木を殺害したことは、父親との再会を完全に断絶するための手段であったとも考えることできる。

映画の後半部分を占めるのは、『宿命』の演奏と全国を放浪する親子の回想シーンです。

確かに、和賀は曲の中で父親と再会を果たしています。

そして、演奏を聴いている我々も一緒になって、回想シーンを見ることで、過去の親子に出会っています。

父が命を掛けて我が子を守ろうとしたように、子の父への思い慕う気持ちは揺るがない。

『宿命』を聴きながら、和賀に共鳴していることに気付いたとき、この映画は凄いなと思いましたね。

単なる謎解きのミステリー映画でないです

謎解きメインの原作と比べて、話の途中で犯人を知ることは出来るけど、殺人の動機がクライマックスまではっきりとしない。

その動機探しが、話をグイグイと引っ張っていく。

動機の謎解きは、人間の心理を重視する松本清張の特徴であり、なかなか結び付かなかった事柄が積み重なっていき追い込んでいくシナリオも見事。

殺害された三木は、幼い頃に和賀を引き取った人物。

和賀の父・千代吉がハンセン病であったことを我々が知るのが『宿命』の演奏が始まってから。

演奏会と捜査会議を交互に見せ、一気に怒涛のように畳み込み、ラストに向けての高まりは鮮やかです。

映画だけでしか為し得ない表現とはまさしくこのようなこと。

少年・秀夫の胸中を感じ取る役回りは、観る人に委ねている。
それは、しようがないと思う。

今現在の平和な世の中では、昭和初期にみられた不当な差別、偏見、迷信も薄まっていることから、和賀が浴びた心の傷は、たぶん私の想像するよりも足元にも及ばない遥か彼方の出来事に違いない。

でも、どんな理由であろうと、彼は仏みたいな心をもち合わせ正義感に溢れていた三木を殺すまでに至った理由はなんだったのか。

個人的な主観になるけど、父の後を追いかけ三木の家を飛び出した和賀を必死に捜し、名前を呼ぶ三木の呼び声に、彼は応えなかった。

草陰に息を潜めたまま、涙をぼろぼろ流すだけである。
なぜ、和賀は三木の優しさを拒まなくてはいけなかったのか。

ここに、本作の最も重要なテーマが示されている。

受けた差別、迫害の酷さ。

幼い頃に、この洗礼を受けた和賀は、例え簡単に三木の愛情を受け入れてしまうと父親の歩んだ人生を裏切るといった思いが生じたからだと感じた。

まとめ

松本清張と言ったら推理ものというようなイメージがあるけど、根底にあるのは、濃厚な人間ドラマや文学的な雰囲気があること。

そんな作品のひとつにあたるのが、この『砂の器』です。

松本清張の作品はきわめて普通の人々がする差別と偏見がひとつのテーマであるけど、この作品はそれがよく現れていますね。

構成もしっかりと練られていて、終盤における演奏場面に合わせた親子の苦しい旅路は、自ずと涙がこぼれてきてしまう。

親子が多くの自然をバックに歩いている姿は、哀しくも惹かれる1枚の絵画のようですらあります。

これら昔の映画の側面として、その当時の時代背景を映し出し、そのレトロな感じを堪能することもできる。

その当時の街並みや、人々の服装なんかも見ることができて興味深い。

ストーリーの展開と美しい映像と音楽。
鑑賞後、余韻に浸れることができるので、おススメです。

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