ネタバレ含みますのでご注意ください。
粒ぞろいのコナンの中でもとりわけ完成度が高い本作。
舞台はイギリス・ロンドンという設定に実在したジャック・ザ・リッパーとシャーロックホームズが解決に導く推理設定。
さらに現実世界における殺人事件と『シャーロック・ホームズシリーズ』の世界とリンクするという神業的な脚本構成が秀逸です。
タイトルの亡霊はジャック・ザ・リッパーではないかと思ったら、実はヒロキ(亡霊)だったといった思いもよらないラストは以外でしたね。
毎度おなじみの飛び道具が使えない状況で、これほどまでに面白く仕上がっているのもこの作品の魅力です。
ファンの間で人気が高いのも伺えます。
そんな『名探偵コナン/ベイカー街の亡霊』のあらすじと感想をご紹介します。
スポンサーリンク
あらすじ
シンドラー・カンパニーの新作ゲーム発表会が日本で行われる。
そこに園子の紹介で招待された蘭やコナンたちも参加する。
この新作ゲーム発表会に招待を受けているのは、警察官僚や政財界で活躍する二世、三世の子供が50人勢ぞろいしていた。
そんな中、同じ会場の地下室で、ゲーム開発者の樫村がトマス・シンドラーによって殺害される。
コナンは、キーボードに打たれた「J」「T」「R」のダイイング・メッセージから、事件を解くカギがゲームの中にあると考え、「コクーン」を体験することにする。
「コクーン」は、人工知能「ノアズ・アーク」からゲームの采配をコントロールされてしまう。
1人でもゲームをクリアができないと場合、参加した子供の脳を破壊し、命を奪うと告げてきた。
会場にいる大人は子供たちを助けようとするが、電流が流れていて、軽率に手を出すことができません。
コナンの父・工藤優作もゲームの監修にも関わっていたことから、招待を受けており、事件の存在を知ることとなる。
コナンは少年探偵団や蘭と一緒に子供たちの命を救うために「ノアズ・アーク」から提示された4つのゲームの1つである「オールド・タイム・ロンドン」に参加します。
このゲームは、19世紀末ロンドンで実際にいた殺人鬼ジャック・ザ・リッパーを追い詰めること。
コナンたちは手がかりとなるモリアーティ教授に面会するため、彼の部下であるモラン大佐に近づくが、歩美・元太・光彦と諸星らの仲間4人の内1人がゲームオーバーとなってしまう。
モラン大佐と格闘するコナンたちのやり取りを見ていたモリアーティ教授はジャックを捕まえる手助けをすると話し掛けます。
ところがそれはホームズの大切な女性とされるアイリーン・アドラーの殺害を指図したものだった。
あくる日の新聞で知ったコナンたちは、アイリーンの舞台へ向かう。
公演の中止を頼むが、アイリーンに拒否されてしまう。
公演中、モリアーティ教授の仕掛けた爆弾によって会場が爆発し、アイリーンは間一髪諸星の仲間の2人に助けられる。
しかしその2人は脱落し、コナンを助けようとした灰原も脱落してしまう。
アイリーンを救出した後、ジャックを目にしたコナンたちは追跡し、駅の列車に飛び移ります。
一方優作も、樫村が殺害された解決にむけて、事件の謎解きと真犯人に関して話し始めます。
優作は、樫村を殺害した犯人はシンドラー・カンパニーの社長トマス・シンドラーであることを告げる。
彼はかつて樫村の息子であり、「ノアズ・アーク」の開発者でもあるヒロキを養子にして育てていた。
ところがシンドラーがジャック・ザ・リッパーの子孫だという事実を知られたことからヒロキを自殺に追い詰め、その事実を掴んだ樫村も殺害したのです。
同じ頃、コナンも列車内に逃げ込んだジャックを探しあて、追い詰めるが、蘭が捕らわれてしまう。
列車の上でジャックと縄でつながっている蘭を見つけるが、コナンは打つ手立てが思いつない。
その時、蘭が列車から落ちることで自らゲームから脱落し、ジャックは谷の底に落ちていく。
列車は暴走し、ノアズ・アークによって、乗客・車掌がいなくなり、このままだと駅に激突し大惨事になってしまう。
その時、コナンの目の前にホームズが現れ、「まだ、血まみれになっていない」とアドバイスをうけます。
それをヒントにして、コナンと諸星は列車に積まれていたワイン樽を全て割り、プール状態にすることで衝撃を抑えることに成功します。
コナンと諸星はゲームをクリアし、子供たちは無事に現実の世界に戻ることができた。
コナンは諸星が実は「ノアズ・アーク」だと言い当てる。
時計の針が逆に動いていることを暗にほのめかしたりしたこと等から推測した。
「ノアズ・アーク」の知能にあたるヒロキは10歳にして既に天才と称され、友達と遊んだ経験がなく、諸星の体を借りてみんなと遊びたかった思いを話し、消えてしまいます。
コナンも優作と会話をすることは出来なかったが、互いに目を合わせ、信じていたことを確かめ合います。
キャラ設定に違和感があるのは歪めない
さすがドラマの脚本を多く手掛けてきた野沢尚氏の作品ということで、ストーリーは非常に良く出来ています。
野沢尚氏が担当した理由もマンネリ化を防ぐ為と江戸川乱歩賞を受賞した本格派のミステリーを期待しての登板。
ですが、常日頃からコナンの仕事をしている方じゃない理由からか、キャラクターに違和感があるんですよね。
それが惜しい。
中でも、蘭がホームズについて変によく知っていること。
また、コナンが諦めてしまうところ。
蘭がホームズを良く知っているのは、新一の影響によるものかもしれないけど、そのような描写は、原作のマンガの中には出てこない。
知識におけるフォローは、蘭より灰原にさせた方が適任。
蘭の場合、そういった部分でコナンのフォローをするよりも、格闘シーンの方が良かったと思う。
例をあげると列車の上。
ジャック・ザ・リッパー対蘭の対決って、かっこいい画になっていいのになぁ。
そして何といっても列車の上でつぶやいたコナンの諦めた言動。
さらに、コナンの前に突如ホームズが現れる場面は必要ないかな。
これまでのコナンであれば、諦めかけたときに「あなたが私たちのホームズなんだから」という灰原の言葉がよぎり、消えていった仲間たちのために立ち上がる・・・という展開の方が良かった。
例えどんなことがあろうともコナンは絶対に諦めちゃいけませんって。
1%の確率を探らなきゃ。
ストーリーとしては、コナン劇場版のなかでも完成度が高く申し分ない。
それだけにキャラの違和感がホントに惜しい。
親子の絆が嫌味なく描いているのがいい
今回メインとなる「ヒロキ」という少年の存在が、この作品の中で最も伝えたかった事を実現している。
このヒロキを始め、ジャック・ザ・リッパーまで使って、親子の関係を題材にしているなという様に感じました。
コナンと優作の交流が深く描かいていないことがかえって、ストーリーに深みを与えている。
もう一つは、親の地位や名誉がそっくりそのまま子供に引き継がれる世襲制度に対する批評が描かれている。
「親の力を借りずに、自らの力で、未来を切り開いていってほしい」、「どんな苦境になったとしても、逃げることなく人生に挑んでほしい」、「君達ならばまず、大丈夫だ」といった、前向きな志向で、希望を見せてくれるメッセージがしっかりと含まれており、それがわかった時とても感動しました。
まとめ
今回はコナンの父、工藤優作が始めて登場し、現実世界において事件を解決に導き、ゲームの世界においては、息子であるコナンが事件を解決する。
コナンファンはもちろんのこと、ミステリー好きな人も存分に楽しめる映画です!
現実世界とゲームの世界が全て1本の線に繋がって謎が解明していていく過程は見事です。
すごいな!と思いました。
やっぱりコナンは面白い!
そして、お互い離れていても、心が繋がっているコナンと優作親子がすごく良かったです。