ネタバレ含みますのでご注意ください。
劇場版コナンの中で、最もロマン溢れる壮大なストーリーになっている。
本作における最大の面白さは、闇の部分が描かれている怪盗キッド。
変電所を爆発させ、大阪市内を停電にさせる大胆なはたらきは、まさしく犯罪行為。
また、歩美の部屋のベランダと通天閣の頂上の2シーンの青山先生が描いた原画の怪盗キッドは、今観ても、カッコいいです。
個人的には、『まじっく快斗」のようなコミカルな怪盗キッドよりも、クールな方が好きですね。
今作は、謎解きの要素が強く、城の地下室で繰り広げられる『エッグ』の秘密が解明されるシーンの演出は、ロマンが溢れ、盛り上がりどころ。
今作の第3作から第7作においては、どれもレベルが高く、未見の人は是非観ていただけたらと思う。
そんな『名探偵コナン/世紀末の魔術師』のあらすじと感想をご紹介します。
スポンサーリンク
あらすじ
ある日の夜、吉田歩美がちょうどベッドに入ろうとしたところ、ベランダに人影が見えたので、窓を開けると白いマントに身を包んだ男が立ちつくしていた。
彼は歩美にあいさつをした後、自分を追いかけきた警察から捕まる前にハンググライダーによって逃走。
彼の名は怪盗キッド、神出鬼没の大泥棒でコナンのライバルでもある。
鈴木財閥から新たに発見がされた、『インペリアル・イースター・エッグ』という、ロマノフ王朝時代の遺産を盗み出すという、怪盗キッドよりの予告状が届く。
[aside type="normal"] ロマノフ王朝
1613年から1917年に亘りロシアを統治した王朝。 [/aside]
鈴木財閥の会長鈴木史郎は、探偵、毛利小五郎にエッグの警衛をお願いした。
そこで、小五郎、蘭、コナンらは、エッグが展示されている大阪へと向かう。
そこには、情報を聞きつけた工藤新一と同じ様に高校生探偵として有名な服部平次と彼の幼馴染だという遠山和葉の姿もあった。
ところが、このエッグを望むのは怪盗キッドばかりじゃなかった。
そのエッグは歴史的に極めて価値のある品であり、数億円かけても手にいれたいと思う人物も大勢といたのです。
ロマノフ王朝に関して調査をしている浦思、美術商の乾、映像作家の寒川、そして、ロシア大使館に勤めているセイルゲイの4人は、特にエッグに強い興味を示していた。
コナンと平次は、力を合わせてキッドが送りつけてきた暗号解読に乗り出した。
だが、コナンは、犯行声明において、何となく違和感を持っていた。
キッドはこれまで宝石を専門としてきた泥棒、何が目的で今回エッグを狙うかが思いつかなかったのだ。
また、予告状に記されていた「世紀末の魔術師」という文言にしても、コナンは引っかかっていた。
でも、コナンと平次は、見事その暗号を解いた。
しかし、それはキッドが掲示した犯行時刻の直前だったのです。
キッドは催眠ガスによって、刑事たちを眠らせ、エッグを盗み出した。
キッドが、ハングライダーで逃走する。
バイクでキッドを追うコナンと平次だが、トラックにぶつかり平次は交通事故を起こしてしまい、動くことができなくなる。
コナンは、スケートボードで追跡するが、しかし、その時だった。
何者かがキッドに向けて狙撃したのだ。
銃弾はキッドの右の片眼鏡にあたり、そのまま海へ転落してしまう。
エッグは無事取り戻すことができたが、キッドは行方がわからなくなってしまう。
そして、狙撃手の行方も掴めていない。
再びエッグを守るため、コナンたちは豪華客船に乗り、東京へと戻ることとなる。
しかし、豪華客船の中で、殺人事件が起きる。
なんと、寒川が何者かによって、右目を狙撃され殺害されてしまう。
警察も駆けつけるが、捜査は思うように進まない。
そこでコナンは、寒川が殺害された右目の狙撃からキッドの事件との共通していることか、阿笠博士に照合を依頼した。
すると、ICPOより国際指名手配がされている『スコーピオン』という犯罪者と手口が同じであることが明らかになる。
そして、スコーピオンは、今まで度々ロマノフ王朝に関連する財宝を狙い続けていた。
そのような背景から、スコーピオンが一連の事件に関わっているとコナンは考えるというわけです。
一方、船にはエッグを作ったとされる香坂喜市の子孫である、香坂夏美が乗り合わせていた。
それから、夏美からエッグの設計図を見せてもらうと、エッグにはもう一つあることが判明する。
コナンたちは、もう一つあるとされるエッグを求めて香坂邸へと向かう。
コナンはエッグに隠された謎を解くが、そこにスコーピオンも潜んでいた。
なんと、スコーピオンの正体は、ロマノフ王朝を調査している浦思だった。
彼女は、ラスプーチンの子孫にあたり、先祖に代わってロマノフ王朝の財宝を集めていた。
彼女はコナンに発砲をするが、眼鏡を防弾仕様に加工していたことによって、難を逃れ、隙を突いて、浦思を気絶させた。
事件解決後、蘭はコナンが新一ではないかという疑問を持つ。
そんな彼女に詰め寄られ、挙句のはて本当のことを話そうとしたコナン。
なんとすぐそこに新一が現れたのだ。
しかし、それはキッドが変装した姿でした。
コナンは前に、キッドの鳩がケガをしていたのを介抱したのである。
そのお礼の意味も込めて、コナンの疑いを晴らしたキッドは、また姿を消すのだった。
怪盗キッドの魅力が満載している
シリーズ3作目にして登場する怪盗キッド。
工藤新一とよく似た風貌を利用しての行動など、怪盗ではあるけど、彼の魅力が存分に伝わる。
序盤は、刑事たちが怪盗キッドに対する絶対に捕まえてやるという気概があって、追い詰めるシーンはいいですね。
また、怪盗キッドの暗号、アクションと、テンポ良く話が進むので見易い。
平次と和葉は、今回余り活躍の場はないけど、舞台が大阪なので、顔見せ程度で登場するのも、アリかと思います。
舞台は船上に移って、事件が起こり、そこから、エッグ探しの冒険へと見所が満載。
クライマックスでは、蝶ネクタイ型変声機を使い、声を使い分け犯人を追い詰める場面は、名探偵コナンらしくて良かった。
今回はコナンの正体が蘭に気付かれるのではないかという緊張感もあって、ラストの締めに怪盗キッドがまた出てくるところもいいですね。
怪盗キッドの活躍で、作品全体のバランスが取れていてよかった。
『怪盗ルパン』シリーズをリスペクトしている
この『世紀末の魔術師』は、モーリス・ルブランが原作の『怪盗ルパン』シリーズを大いにリスペクトしていることにお気づきですか?
例えば、 フランスではなくてロシア王家の秘密、変装する怪盗、城にまつわる秘密、宝物を集めると謎が解ける仕組み、そして思いもよらぬ真犯人……。
過去に江戸川乱歩は、『黄金仮面』において、『怪盗ルパン』の要素を作品に盛り込むことを行ったけど、『世紀末の魔術師』は、乱歩の『黄金仮面』ほど、明確でないけど、リスペクトをしている印象を持っています。
『怪盗ルパン』シリーズのファンなら、感動するはず。
特に参考にしていると思うわれるシリーズは、『奇巌城』、『813』、『カリオストロ伯爵夫人』あたりが挙げられますね。
ラスプーチンとは?
実在の人物として本編に登場するラスプーチン。
彼はいったいどのような人物であったのか、ご紹介します。
ラスプーチンは1869年1月9日、シベリアの小さな村で生まれました。
ごく一般的な農民の子どもとして育ち、20歳の時に結婚し娘を授かります。
ところが、1892年、何の心境の変化なのか唐突に「巡礼の旅に出る」と告げ村を後にする。
旅の途中で如何なる修業をしたかは明らかになっていないけど、超能力とでも捕らえることができるヒーリングをマスターします。
修業後、ラスプーチンはサンクトペテルブルクへと移り、病気の人へヒーリング療法を行なうようになり、周囲からは「神の手」と崇められることとなる。
ラスプーチンのヒーリングは人々の人気を集める状態になり、ロシア帝国の皇帝ニコライ2世の耳にも噂が届くようになった。
ニコライ二世は、血友病に見舞われていた第一王子アレクセイ・ニコラエヴィチ皇太子の治療を依頼する。
その後、ラスプーチンは皇太子の治療を成功させる。
念を生じ祈るだけで、血友病が回復したといわれている。
この事が発端となり、皇帝夫妻からの信頼を手中にし、宮殿への出入りを許される。
宮廷への出入り許されると、ラスプーチンは貴婦人たちから絶大な人気を得る。
このことが引き金となって、男たちからは、ふしだらな男という悪い評判が立ち、終いには暗殺計画まで持ちあがってしまう。
これは、ふしだらな男といった妬みや嫉妬などではなく、ラスプーチンの存在を脅威に感じた皇帝の側近たちが、自分たちの失脚を恐れて計画したとされている。
その暗殺計画は、1916年12月17日に実行されてしまう。
皇帝とは直接血がつながっていないフェリックス・ユスポフが、自分の宮殿の新築祝いパーティーにラスプーチンを誘い、青酸カリ入りの食事を出し暗殺を企てた。
しかし、毒を口にしてもラスプーチンは何ともなく、少しも体の変化を見せず何もなかった振る舞いをしてパーティーを楽しんでいた。
中々くたばらないラスプーチンにしびれを切らした、ユスポフは拳銃で発砲し、最後ラスプーチンは滅多撃ちになった状態で、ネヴァ川に遺体を投げ込んだとされています。
なぜか急に「世紀末の魔術師」の青蘭さんごっこがしたくなる
↓
いや流石にラスプーチンの写真飾るのはヤバいだろ
↓
代わりにユスポフ公爵夫妻の写真を飾ってみる
↓
タチアナ皇女の写真も飾ってみる
↓
どっちにしろヤバい奴になってる←今ココ pic.twitter.com/E3kRiioK5A— うえまる (@ue0512) 2018年5月18日
まとめ
怪盗キッドのファンにとっては、堪らない1作。
見どころは右目を狙って仕留める『スコーピオン』とは一体何者なのか?
そして、物語の途中で消息を絶った怪盗キッドはどうなってしまったのか?
この2つの疑問を軸として、物語が進んでいく感じ。
コナンの初期作品なので、謎解きのレベルはかなり高い。
改めて、怪盗キッドの存在感は良くも悪くも大きいことを思い知らされた作品ですね。
ロマノフ王朝の秘宝とラスプーチンという実在した人物の末裔を登場させ、その秘宝を巡って、怪盗キッドと絡める設定は面白かった。
エンディングは、鳩で上手くオチをつけているけど、怪盗キッドの変装は心温まり良かったです。