ネタバレ含みますのでご注意ください。
トム・クルーズの映画は好きでよく鑑賞するけど、まず、ハズレが少なく面白かったなぁといった感想を持つことが多いです。
そんな数ある作品の中で、本作は人間ドラマとしては秀作。
誰もが持っている心の弱さを、喜怒哀楽の表情を使ってトム・クルーズが熱演。
妻のレニー・ゼルウィガーも、素朴なシングルマザーを明るく演じてます。
大口を吐く、落ち目のアメフト選手のロッドを演じたキューバ・グッディングJr.。
本作で見事アカデミー賞助演男優賞を獲得したわけだけど、授賞式でみせたパフォーマンスは、本編のクライマックスさながらで印象に残っている。
ストーリーの柱がスポーツであることから、さわやかな感動に包まれます。
そんな『ザ・エージェント』のあらすじと感想をご紹介します。
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あらすじ
ジェリー・マグワイア(トム・クルーズ)は、アメリカで有望なスポーツ選手を多く抱え、契約交渉を一手に引き受けるSMIという会社に勤務する腕利きのスポーツエージェントです。
華やかな表舞台とは裏腹に、アスリートが試合で負傷しても高い契約を結んでいることから、完全治療をせずに無理して体を酷使するといったアスリートにとって過酷な現状を打破するため、ジェリーは改革案の提案書を会社に提出するが、解雇を言い渡されてしまう。
そんなん中、彼の意見に唯一賛同してくれたのは、経理でシングルマザーのドロシー(レニー・ゼルウィガー)とアメフト選手のロッド(キューバ・グッディング・Jr) のみでした。
やむなく起業することになったジェリーは、恋人のアヴェリーの励ましにより奮起し、大学フットボールにおいて、将来を嘱望とされる。
フランク・クッシュマン (ジェリー・オコンネル)と契約の約束をするが、にも関わらず、ジェリーのかつての同僚であったボブ(ジェイ・モーア)によって先に契約を交わされてしまう。
独立して幸先の良いスタートを切れると思っていただけにジェリーのショックは大きかった。
アヴェリーの心無い言動が追い打ちをかけ、ジェリーは彼女との別れを告げます。窮地に立たされたジェリーは、自分を信じてついてきてくれたロッドの為に奔走します。
そんな状況下で、サポートをしてくれるドロシーに対し、次第に仕事上のパートナーをこえて恋愛感情が芽生える。
ジェリーはドロシーに食事のデートに誘う。ドロシーは浮足立つが、そんな彼女の姿に姉のローレルは心配する。
食事のデート後、彼女を自宅に送り届けたジェリーは、抑えていた感情をだし、ドロシーもそれに応え、恋に落ちた2人は、その晩一夜を共にします。
ロッドは、新しく生まれてくる家族のために、より一層の収入確保を目的に、来季からの契約を辞め、フリー・エージェントとしての道を選択します。
ロッドが、ケガによる故障から選手生命が絶たれることをジェリーは危惧するが、最終的に彼の意思を大切にすることにします。
ロッドが居なくなることから、ドロシーに給料を払うことができなくなります。
新たに仕事を探すために引っ越すこととなったドロシーの前にジェリーが現れ、プロポーズをします。
しかし、お互いに理解を深めていかない段階で結婚をしたことによって、2人の生活は次第に溝が生じます。
そんな中ジェリーは、試合におけるロッドの姿勢に口を出し、口論となって最悪の状況に陥ります。
ロッドが所属するチームの優勝決定戦。
試合前、緊張して張りつめていた状況の下、ジェリーが顔を出します。わざわざ自分のために足を運んでくれたジェリーに対し、ロッドは感銘し2人は和解する。
ロッドは、不安が吹き飛んだ感じで誇らしげに試合に挑みます。
しかし、ロッドのマークはきつくなる中、決勝点につながる大事なロングパスを見事キャッチしますが、タックルにより気を失ってしまう。
周囲の見守る中奇跡的に起き上がり、チームは優勝し、ロッドは一躍ヒーローとなります。
ロッドの果敢なプレイに刺激され、ジェリーは、再びドロシーの元へと向かい、彼女に愛を誓います。
活躍が評価されたロッドは、本人が望んでいた金額を契約することができ、改めてジェリーに感謝の気持ちを伝えます。
また、ジェリーは、ドロシーと息子レイによる家族の絆を深めていきます。
トム・クルーズの演技力に注目
トム・クルーズといえば、『ミッション:インポッシブル』シリーズのようなアクションもののイメージが強いけど、本作を見れば彼の演技がしっかりしたものであると感じることが出来ます。
上昇志向むき出しで、自分の熱意をド派手にアピールしたことによって、会社を解雇され、苦境に立たされる敏腕エージェントを見事好演しています。
純粋で人を疑うことを知らない、ちょっと脇が甘く頼りないところがホントにうまい。
誰もが持っている心の弱さを体現しているので、そんな泥臭い面に感情移入し応援してしまいます。
目を見張るアクションは好きですが、このような人間ドラマの作品も地道にやって欲しいものです。
この路線でクリント・イーストウッドのように、監督としてアカデミー賞をとってもらいたいですね。
【Happy birthday!】本日は、トム・クルーズ54歳の誕生日!『ザ・エージェント』でスポーツ選手の契約を一手に仕切る優秀なエージェント役を熱演。人生の挫折を乗り越えながら成長する、人間味ある役柄と演技に注目! pic.twitter.com/YdpgG3Nhct
— ソニー・ピクチャーズ (@SonyPicturesJP) 2016年7月3日
ビジネスマンにとって必要な事柄がすべて詰まっている!!
スポーツエージェントの存在は、野球選手がメジャーリーグに契約する際に『代理人』という名前がニュースで聞かれるようになって、私たち日本人にも認知されるようになった。
大谷翔平や田中将大がアメリカで活躍している現在、もはや自然になりつつある。
そんな世界で頑張る男の野心と挫折、そして恋愛と友情を柱として描いているのが『ザ・エージェント』です。
これまで社会で生活してきて、自分の気持ちをないがしろにしていたジェリーが、本当にやりたいことが見つかり、後ろを振り向かず、ただがむしゃらに突き進んでいく。
自分に足りないものを得るために、様々な困難と葛藤しながら、生き方を模索する姿に心が奪われます。
そしてなんといっても、本作の一番の見どころとなる、クライマックスのロッドがテレビを通じて話すシーン。
ロッドの一言一言が胸に突き刺さり、感涙必至。
男同士の心が通じ合った場面は、芝居がかって冷めてしまう場合があるけど、この場面は泣けます!
仮に私がスポーツ選手でマネージメントを頼む立場であれば、間違いなく彼のような情に熱い男を代理人にしたいと思いますね。
どうしても世の中「お金」はついて回るものだけど、ただ稼げばいいというものでもない、もっと身近に大切なものがあると語りかけている感じを受けます。
本作の物語は、働くすべての人に共通の事柄が、至るところに散らばって示されています。
それが、ヒントになっており、大変参考になる。
決して、プロフェッショナルとしての華麗なサクセスストーリーのエージェントの話ではないけど、それを踏まえて、鑑賞すると更に親しみが湧いてきます。
今日はトム・クルーズの誕生日。ってことで、「ザ・エージェント」。プロスポーツの舞台裏を描く、恋あり友情あり熱血ありの、お仕事映画。"Show Me The money!!"
ちなみに、明日なら「7月4日に生まれて」でも。#1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/q7JJNWLqqh— nissy (@ni_ssy) 2017年7月3日
まとめ
『ミッション:インポッシブル』シリーズの他彼が主演した色んな映画を観てきたが、トム・クルーズの素の部分が垣間見える作品。
何よりも共演した俳優が、彼と相性が良いことも手伝って、とても引き立たせていると感じた。
まず、ドロシー役を演じたレニー・ゼルウィガーは、豊かな表情が愛くるしく、自然な演技が魅力的だった。
ロッド役を演じたキューバ・グッディング・Jrは、プライドが高く自信家。ムードメーカー的な存在でいい味をだしている。
そして、本作で一番光り輝いていたのは、ドロシーの息子レイを演じたジョナサン・リプニッキ。
彼の子供ながらにして、計算しつくされたような自然な演技は、トム・クルーズの存在がしぼんでしまう程、完璧だった。
『ザ・エージェント』では、「手を貸して助けているようで、実際はその逆で、お互いに足を引っ張り合っている。
けれども互いに、夫婦間、エージェントとクライアントの間に絆が強くなっていく過程がいいですね。
心と心が完全に一体化する瞬間がとても効果的に描かれている。
本当に成功するということは、愛する妻や家族と一緒に人生を分かち合って生きることではないかと、ラストできちんと締めてくれた。