ネタバレ含みますのでごご注意ください。
原作は読まず、まっさらな状態で映画を鑑賞した。
なんといっても最初から最後まで非常にテンポがいいです。
メリハリのない演出も一切なく、説明口調の眠たくなるようなセリフもない。
タイムリープものによくある何度も繰り返される同じシーンも、無駄な場面はカットされていてその分必要最低限の部分のみ映像化しているので、スピード感があって一層スリルが増しています。
トム・クルーズが珍しく情けないダメ男を演じているが少しずつ戦闘を学び、仲間を守る使命感に変貌していく過程がめっちゃカッコいい。
トム・クルーズ作品お約束のラブシーンも今回は控えめ。
戦闘シーンはこれまでのハリウッド映画とは違い、カッコ良さを全面に出したものではなく重苦しく必死に動いてる感じのリアル系のアクションです。
でも、そんなところがまた泥にまみれてながら何度も死んで立ち上がる、本作のテーマに合っていました。
最初と最後のシーンと比較すると感慨深いものがあります。
未来が確実に明るいわけではないが、心地良いハッピーエンドです。
そんな『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のあらすじと感想をご紹介します。
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あらすじ
動画はこちらになります。 ↓ ↓ ↓
舞台は近未来。
地球は「ギタイ」と呼ばれている宇宙からの侵略者によって、窮地に追い込まれていた。
世界の国々は荒廃していき、生き延びた人々はUDF(統合防衛軍)を結成し、苦戦を強いらてきたがパワードスーツを実用化したことによって戦況が回復することになります。
パワードスーツによる戦いは、フランスのヴェルダンの戦いで効果を発揮し、リタ軍曹(エミリー・ブラント)の奮闘により、勝利をすることができた。
彼女は多くのギタイを倒したことから、英雄として賞賛されます。
ケイジ少佐(トム・クルーズ)は広報活動をメインとしてきたが、ロンドンのブリガム将軍によって、戦いの最前線に送られてしまう。
ケイジはJ分隊に配属され、ファレウ軍曹の指図に従い、パワードスーツすら操作がわからない状態で戦場に出ます。
しかし、大勢のギタイの攻撃により、リタも死に、ケイジも戦死。
死亡したケイジが目を開けると再び出撃前の状態に戻っていました。
ケイジは死んでしまうと共に記憶が出撃する前に立ち返るというタイムループに陥ってしまう。
何度目かのタイムループでリタに「出撃前の私とコンタクトをとって」と言われたケイジは、リタもかつて同様の経験をしたことを知りました。
ケイジは続けざまに戦場に於いての経験を重ね、着実に戦闘能力を高め生きる時間を長引かせます。
リタは、カーター博士と一緒になってギタイの生態についての研究しています。
たくさんいるギタイだが、元々は1つの有機生命体で、「アルファ」といった巨大なギタイが「オメガ」といった本体との通信役をしていました。
ケイジは一番最初に出撃した際、アルファの青い体液によってタイムループの力を持つようになった。
リタはヴェルダン戦で能力が目覚めたが、傷を負って輸血した際に能力を失ってしまう。
オメガは共鳴を感じると幻覚を見せ、そのことがオメガの在りかの手掛かりになります。
ケイジはこの幻覚を目にしますが、オメガが映した偽の情報だった。
カーター博士が開発して没収された逆探知装置を奪い取りに、ケイジとリタはブリガム将軍のもとを訪ね、装置を取り戻すことに成功する。
ケイジは、装置を自分の足に注射をして、オメガの所在を突きとめます。
パリ・ルーヴル美術館の地下と判明するが、その直後、軍による追撃によって、ケイジは負傷して輸血が行われ、タイムループの能力を失う。
もうこれで、死ぬことは許されない状況となった。
ケイジはリタと一緒にJ分隊にこれから起きる出来事を説明し、味方につけます。
そして、オメガがいるルーブル美術館に潜入。
ケイジは水中に潜り、オメガを攻撃しようとするが、反対に刺されてしまう。
けれど、ケイジのほうが一足早く手榴弾のピンを抜いていた。
爆発する手榴弾はオメガを破壊し、それに伴ってあらゆるギタイの動きが止まり死亡します。
オメガと心中したケイジだけど、オメガの発した青い体液を浴びたことによって、もう一度タイムループの能力が復活する。
ケイジは、ブリガム将軍に面会する前までさかのぼります。
タイムループものが好きな人にお勧め!!
日本のライトノベルズが原作だということと「タイムループ」を扱っているところに惹かれた。
ケイジが死んでしまうと死ぬ一日前にタイムループするという、よく見かけるわかりやすいストーリーで、何度も同じ場面が繰り返され飽きないか不安だったものの、多少なりとも退屈しませんでした。
捉え方によってはご都合主義的になりがちな「時間もの」だけど、エイリアンやパワードスーツといった従来からあるSFを継続したところは多いけど、その結び付け方が絶妙で、ストーリーに夢中になれる作りである。
タイムループをする状況になったケイジが、同じ様にタイムループを体験したリタと一緒になってエイリアン絶滅を目論むのだが、何度もリープを繰り返しながら経験を積むことによって、次第に手際よく動けるようになったり、解決策といえる方法を突き止めるなどしながら、敵の心臓部へと近づいていく。
始めは自分の与えられた状況にぎこちなかったけど、数々の失敗を重ねながらも、着実に改善を続ける姿を見つめるうちに、ゲームを攻略しているかのような感覚がありますね。
幾度となくハラハラとさせる展開、絶望感を与え、ジェットコースターの様に全力疾走し鑑賞し終えることができる。
目的を実現させるために、頻繁に、同じ日をリピートするけれど、次のステージに進むために、もがき苦しんでいく展開は、実際、自分の人生においても、こんな風にリセットしてやり直しができたら……と、思ってしまいます。
この無限ループを抜けたときの開放感がたまらない。
こうしたジャンルは映画よりアニメの方が多く、人気作を例に挙げると『涼宮ハルヒの憂鬱・エンドレスエイト』『re:ゼロから始める異世界生活』『魔法少女まどか☆マギカ』とかになります。
ケイジは自分だけ人より多くの時間を過ごしていることから、レナと多くの時間を共にしていくわけですが、彼女にとって彼との時間はたった1日なので、そこに違いが出るというのもまたやり切れないところです。
死んだのにリセットしてループを繰り返す疑似体験しているゲーム世代にとっては、簡単に世界観を受け入れるけど、反対に、そのようなテーマに触れていないと、とんだ手抜き映画だ!と思ってしまう可能性もあるかも?
色んな映画を観ているが、本作は良く練られていて、かなり面白い。
オール・ユー・ニード・イズ・キル
原作である日本の漫画の冒頭を少し読み面白かったので観ようと思った。アクションも敵クリーチャーデザインも素晴らしく面白かったが、やはりタイムループものは難しくちょっと理解に手こずった😞
疑問に思ったシーンやツッコミどころは何度かあったが、スルーした pic.twitter.com/yhZYVUQgHf— らりちゃむ (@NPnqW7qjvxJIdvP) 2018年7月11日
ゲーム感覚が新鮮でおもしろい
『スーパーマリオ』や『シューティングゲーム』と同じく、死ねばキャラクターはゼロに立ち返るが、プレイヤーの経験値が上がる、それに近いものがあってとても共感できた。
幾つもの手法を試して上手くいったかどうかを何度も考えてながらやり直す、これを繰り返してエンディングを目指す、というのはまさに『オール・ユー・ニード・イズ・キル』と一致する。
さながらステージをクリアしたアクションゲームみたいに繰り広げていき、スピード感が最高。
これはまぎれもなく、少年時代にヤリ込んだファミコンそのもの!!
コンテニューが存在しないゲーム、死んだらスタートからやり直し…。
同じ所で死んで、また死んで…。
やっとクリアできたと思ったら、次で死んで…。
簡単にいえば死んで覚えるゲームをプレイするプレイヤーの視点で実写化したような映画です。
リセットボタンを押してやり直す気力があった少年時代を思い出す人も多いはず。
同じ様な手法を取り入れた映画は過去にも存在したが、本作は演出が優れていて飽きずに観れます。
ラストを迎えたトム・クルーズの嬉しそうな笑顔が何ともいえずよかった!
この先どうなるのかな?と思わせる余韻に浸れるラストでした。
トム・クルーズの作品はハズレがない
トム・クルーズ作品の特徴として、良くも悪くも映画の面白さが比較的同じように安定している。
トム・クルーズは、誰もがこんな映画が観たいと思っている作品を提供してくれる貴重な存在の俳優です。
特に本作のようなSF映画は、子どもから大人と性別問わず、ワクワクドキドキさせてくれるジャンルで、本作や「オブリビオン」といったSF作品には否応なく期待感が高まります。
本作は、まずオープニングでニュース映像を見せ、観客の心を引き付ける巧さがあります。
短い時間で、地球が窮地に立たされている状況をSF映画としての期待感を盛り上げていきます。
あっけなく死んでしまい、また同じ1日を引っ切り無しにリセットするわけですが、それを説明的に演出することはせず、テンポ良く展開しているため飽きがこない。
また、生き返って肉体がパワーアップするということはなく、あくまでも前回までの記憶をもとに次の行動を考えることしかできないという強み以外ないので、記憶力がしっかりしてなくてはいけないし、精神面で強くてなければとても持たない。
そのことから序盤は戦闘から逃げることばかり考えていた主人公が、着々とたくましく成長していく物語でもある。
トム・クルーズは間違いなく自分が世間から見られているおかしさを意識した役選びをしている点も見事。
大スターでありながら何となく失笑を買い滑稽な存在だと世間に見られていることを彼は理解していて、それを踏まえて要するに嫌な奴を演じる事によって役の上でのリアリティとし利用しているのは凄い。
何といっても、単なる広報担当だった主人公が、数え切れない修羅場を潜り抜け、無骨な軍人へと成長を遂げていくトム・クルーズの顔つきが変化していく演技は流石の一言。
高校教師をしているにも関わらず学習能力皆無の弟が定期的に同じ失敗をして同じ愚痴をこぼす無限ループから抜けないことにうんざりしたので「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を観るなど。 pic.twitter.com/4s0u7xHemV
— K.G (@ken510_aloha) 2018年7月5日
まとめ
何となくどこか懐かしさを感じる。
SFアクション映画を見ているのにもかかわらずまるで自分とは無関係じゃない内容。
ループものは数多くあるけど、ここまで徹底してトライ&エラーの部分を強調している作品ってないんじゃないかなぁ。
だからこそ、映画を見てるつもりなんだけど何だかゲームのプレイ画面を見ているかの様な感覚が得られる。
とても難易度の高いゲーム。
何度も何度もゲームオーバーに陥ってがその経験を取り入れ次はこうしようと悪戦苦闘している背景も楽しめる。
その結果経験値を積んで成長する。
始めはへなちょこだったというのに気がつけば立派な戦士になっている。
自分もこんな風に人生を少しずつ上手くなりクリアしてきたなぁという感覚も思い出す。
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はラブストーリーも控えめながら用意され、それでいて友情もあり生命の尊さも表現され感動します。
たくさんの要素が盛り込められており、特殊な内容ではあるけど、敷居は高くはない。
決してマニアックな作りになっていないので、安心して鑑賞できるのがいいですね。