英語

英語特有のリズム感をどうやって身につけるか?

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日本語でも英語でも、Yes / Noで答える疑問文の場合、文末を「上げ調子」で発声します。

日本語の場合、疑問文以外はほとんど抑揚(イントネーション)をつけず平坦に話します。

しかし、英語では、イントネーションやアクセントに代表される「リズム感」が重要な要素で、このことを理解していないと、コミュニケーションが巧くいかない場合があります。

イントネーションやアクセントは、中学校の教科書に書いてある通り発声すれば良い、というような単純なものではありません。

【ネタばらし】 実は、ずっと、ずっと単純なのです!

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英語の発声法と音楽の類似性

英語に限らず、西洋言語の発声法は、音楽の発声法と似ています。

音楽の発声法は、単純化して言えば、「叫び」です。このことは、オペラやミュージカルの歌声が、正に「魂の叫び」であることから、容易に納得できるでしょう。

つまり、西洋言語においては、肯定形・否定形・疑問形のいずれであっても、自らの意思をしっかり「叫ぶ」必要から、オペラやミュージカルの歌声に近い発声法が定着したのだと思います。

それでは、西洋ではなぜ、「叫ぶ」必要があったのでしょうか?

ヨーロッパでは、歴史的に民族が入り乱れ、戦争や混血が繰り返されてきました。

そのため、「言語」も戦いに巻き込まれ、ラテン語や古代アラビア語のように消滅した言語もあります。(日本でも、アイヌ語がユネスコの「消滅危機言語」に登録されています)

そうした言語戦争状態にあっては、自らの意思を、異なる言語を話す相手に正確に伝えるには、おとなしい平坦な発声法ではなく、「叫ぶ」ような発声法と身振り手振り(ジェスチャー)が必要だったのです。

他方、日本では、北方先住民族であるアイヌとの戦いを除けば、言語戦争を経験したことがなく、近隣住民とのコミュニケーションで叫ぶことや大げさなジェスチャーは必要なかったのです。

むしろ、「沈黙は金」とみなして、寡黙を尊び、派手なジェスチャーは敬遠されてきたのです。

音楽では、3要素として、メロディー、ハーモニー、リズムがあります。英語では、イントネーション(抑揚)、シュプレヒコール(唱和)、アクセント(強弱)などが対応しています。個別に見ていきましょう。

イントネーション

イントネーション(intonation)とは、2語以上の単語または文の発音において、高低差をつけて発声するパターンをいいます。1語の中での強弱・高低差は、アクセントです。

イントネーションには、上昇調(rising intonation pattern)と、下降調(falling intonation pattern)とがあります。

以下、上昇調の後に記号(↗)を、下降調の後に記号(↘)をそれぞれ付けて表記することにしますので、声を出して読んでみて下さい。

上昇調

一般に、Yes / Noでの回答を期待する疑問文では、文末を上昇調で発声します。

Do you go to school today(↗)?

Would you like a cup of coffee(↗)?

下降調

一般的な肯定文・感嘆文・命令文などでは、下降調で発声します。

I will buy the ticket(↘).

What a spectacular scenery(↘)

Put your gun down(↘) and stand against the wall(↘).

上昇・下降混合パターン

肯定文でも、単語をリスト的に列挙する場合、最後の単語を除いて、上昇調で発声します。最後の単語は下降調です。

I will but some milk(↗), some cheese(↗), eggs(↗) and some bread(↘).

Whichで始まる疑問文で、2個以上の選択肢を例示する場合、上記リストと同様のイントネーションになります。

Which do you like most, apples(↗), oranges(↗) or pineapples(↘)?

また、文の途中で、聞き手にさえぎられたくない場合や、まだ話が終わっていないことを明確にするために、曲折抑揚(circumflex inflection)という特殊な発声法を使う場合もあります。

I am trying to show it to you now(↗), while I’m talking(↘), in order to prove my theory(↗), which you   will know soon(↘), because this is the first time in Japan(↗), and in the world as well(↘).

上昇・下降の両方あり得るパターン

付加疑問文の場合、文の最後は、上昇・下降の両方があり得ます。その使い分けは、話者の確信度合によります。

You don’t like cats, do you(↘)?  (確認)

You don’t like cats, do you(↗)?  (質問)

【外野席】 イントネーションって、色々あって面倒ですね。でも、日本語と似ているね。

シュプレヒコール

シュプレヒコール(ドイツ語:Sprechchor、英語:speaking choir)は、デモなどで大勢が一緒に、単語や文を叫ぶ表現方法です。通常のスピーチや会話では、まれですが、党大会などで使われる場合があります。

日本語では、「唱和」と訳していますが、英語の場合も、全員で抑揚・スピード・アクセントなどをそろえて発声します。英語劇や朗読で使われることもあります。

ヘンデルの「ハレルヤ・コーラス」やベートーベンの「交響曲第9番」の最終楽章で歌われる「歓喜の歌」の合唱部分などは、正にシュプレヒコールです。

アクセント

アクセント(accent)は、1個の単語に複数音節がある場合、その間で強弱をつけた発声法です。音節には、必ず母音(a, e, i, o, u, y)が1個以上含まれています。Yが母音として取扱われる例は、fly, supply, sympathyなどで見られます。

子音にアクセントが置かれることはありません。アクセントは、単語(意味)ごとに固定しており、文に無関係です。1語1語しっかり発音して、覚えましょう。日本語のアクセント(高低)とは異なる場合もありますので、要注意です。

【例】:desert(砂漠)とdessert(デザート)とは、アクセントの位置以外ほとんど同じ発音です。 Coffee(コーヒー)は、日本語では後半が強調されますが、英語では前半を強く発音します。

日本語の場合は、例えば、雨と飴、橋と箸、海と膿、2羽・庭などのように発音に高低のアクセントをつけて区別しますが、英語などの西洋言語の場合は、前述のように強弱によるアクセントです。

動詞と名詞が同一という単語の場合、アクセントで区別します。一般に、名詞は、前半部分にアクセントがあり、動詞は後半部分にアクセントがあります。

【例】: increase (増加・増加する)、contract (契約・契約する)、record (記録・記録する)、present (贈り物・贈る)、subject (主題/臣民・支配する)

1語に2個以上のアクセントがある場合があります。最も強く発音されるアクセントを第1アクセント(左下がりのアクセント記号「´」を付ける)、それ以外のアクセントを第2アクセント(右下がりのアクセント記号「`」を付ける)といいます。

【例】: rehabilitation (リハビリ):taに第1アクセント、reとbilとに第2アクセント。combination (組合わせ):naに第1アクセント、comに第2アクセント。

【ヒント】 アクセントの法則

アクセントの位置に関して、一定の法則(ルール)があります。例えば、-tion, -sive, -pathy, -ageなどで終わる単語は、その直前にアクセント、など。

しかし、法則には必ず例外があり、試験などでは、そういう例外を狙った出題が多いですから、法則の丸暗記はお勧めしません。

まとめ

英語特有の「リズム感」は、アクセントとイントネーションによって決まります。

ネイティブの発声法をCDやインターネットで真似をする場合、彼らが、口(あご)や舌を素早く動かして、多くの息を吐きながら発声している点に注目して下さい。日本人が、日本語で話す場合の2~3倍の息を吐きながら発声しています。

大きな声を出すのではなく、多くの息を出すつもりで、発声することを心がければ、ネイティブの発声法に近づくのも早いとのことです。

相手の言うことが理解できて、言おうとする内容も英語でしっかりしていても、発声がまずくて、相手に伝わらないのでは、もったいないです。健闘を祈ります。

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