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映画『エクソシスト』カラス神父がリーガンを救いたかった理由を考察

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ネタバレ含みますのでご注意ください。

初公開から40年以上経つというのに、今観ても全く古臭さを感じさせないところはさすがですね。

『エクソシスト』は、数々のショッキングシーンばかりが目立つけど、単なるホラー映画ではありません。

特に悪魔との対決に至るまでのプロセスが見事です。

かつて、悪魔と対峙したことのあるメリン神父。

母親を労わることが出来なかったことに後悔しているカラス神父。

娘が突然豹変して、苦悩する母親クリスのエピソードが絡み合い緊迫感を増していく。

医者の度重なる検査においても原因か掴めず、たどり着いた答えが「悪魔祓い」という設定や、事件と向き合う2人の神父と母親それぞれの苦悩を全面に描いた素晴らしい人間ドラマです。

神と悪魔、善と悪、愛と憎しみといった普遍のテーマを凝縮した名作です。

そんな『エクソシスト』のあらすじと感想をご紹介します。

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あらすじ

イラク北部おいて、古代遺跡の発掘作業にメリン神父(マックス・フォン・シドー)は参加をしていました。

一緒に作業をしているトムから「かけらを見つけた」と報告を受け、メリンが目にしたものは、ランプや矢じり、コインといったものがありました。

発見した場所を更に探ってみると、そこに、悪霊・パズスの偶像を見つけました。

このパズズと呼ばれる悪霊とメリンとは、因縁があり、アフリカでパズズと戦った過去があります。

そこで、メリンは、パズズの復活がまた訪れることを予感して、急遽アメリカに帰国する胸の内を伝え了承を得ます。

舞台は変って、アメリカ・ワシントン州ジョージタウン。

女優のクリス・マクリール(エレン・バースティン)は、映画の撮影で、娘のリーガン(リンダ・ブレア)とジョージタウンに一軒家を借りて住んでいる。

家にはクリストとリーガンの他に、使用人のカール&ウィリー夫妻、家庭教師のシャロンになります。

ちなみに夫とは離婚している。

ある夜、屋根裏から奇妙な物音が聞こえたことから、次の日、クリスはカールに「屋根裏にねずみがいるようだから始末して」とお願いしました。

撮影は順調に進み、監督のバーク・デニングス(ジャック・マッゴーラン)とも故意にしてはいるが、クリスに恋愛感情はない。

今のクリスにとって、リーガンとの生活だけで充分満たされていた。

そんなリーガンは、押し入れにあったウィジャボードを見つけて「ハウディー船長と話をしている」と言ったり、ベッドが揺れると訴えたり精神的に情緒不安定。

クリスは、深く捉えていなくて軽く考えていました。

依然として天井からの物音が続き、ねずみが捕まった形跡はありません。

トラブルはクリスの家でパーティが行われた日に起きます。

大勢の招待客で賑わっている。

リーガンが睡眠から目を覚まし、招待客が談笑しているところに来て、その客に向かって暴言を吐いて、その場で失禁してしまう。

クリスは頭が真っ白になり、すぐさまリーガンと一緒に部屋を去り、お風呂に入れた後、寝かしつけます。

すると、リーガンの悲鳴が聞こえ、部屋に向かうと、なんとベッドが上下に激しく揺れているのを目撃します。

リーガンがクリスに訴えていたことが本当のことであったことがわかります。

クリスはリーガンの様子を心配し、病院の診察を受けることにします。

しかし、診察の結果は思春期に起きる神経系の異常と医者に告げられます。

その後の診断で、ベッドの激しい揺れの正体は、幻覚によってケイレンが起きたと説明される。

しかし、クリスは実際に目にしているので、ケイレンではないと訴えますが、医者は原因を解明しようとします。

リーガンは診察を重ねても症状は改善されるどころかむしろ悪化の一途をたどっている状況。医師たちはありとあらゆる方法で、検査しても原因が掴めずにいた。

あげくにクリスが麻薬を所持していて、それをリーガンが摂取したと疑う始末。

病院から帰ってきたクリスは、リーガンを置いて外出し、窓も開けっぱなしにして外出したシャロンを責めるが、バークが留守番を引き受けてくれたことを伝える。

そんな矢先、バークがクリスの家の近くにある石段の下で死体となって発見される。

酔って階段から落ちて首の骨を折っていた。

キンダーマン警部(リー・J・コッブ)はバークの死に関して検証し、謎な点が多く腑に落ちないでいた。

まず、バークの首が、真後ろにねじれていたこと。

これは、どうみても階段から転げ落ちた衝撃でなるものでないことは明白。

次に留守番を頼まれていたのになんで、用もないのにわざわざ外に出たのか。また、クリスに会わないまま帰るのも不自然であること。

家には、留守番を頼まれたバークとリーガンの2人しかいなかった。

キンダーマンは、何らかの悪魔的な魔術を使った犯行による事件ではないかと推理します。

リーガンに至っては更に状況が悪化し、エスカレートしていた。

血を吐きながら、ブリッジ状態で階段を降りてきた姿に驚愕し、精神科医を自宅に招き、催眠術によってリーガンの内面に潜んでいる人格を引き出そう誘導したところ突如暴れ出します。

リーガンをバリンジャー診療所に移して、ようやくクリスが散々伝えていることを理解する医師が現れました。

その医師はショック療法として、「悪魔祓い(エクソシスト)」を提案します。

キンダーマンがバークの件で、クリスの家に尋ねてきた。

バークの死因について他殺を疑い、リーガンにバーク以外の人間が家に来たことを確認してほしいとクリス告げ、家を後にします。

キンダーマンが帰ってから、リーガンが「やめて」と叫び、クリスが部屋を覗くと、十字架を持って血だらけになってクリスに襲い掛かります。

タンスが動き出し、リーガンの首が回って顔が真後ろを向きます。

そこで「お前の娘は、バークに対して何をしたと思う?」とリーガンが発する声を聞いて、リーガンに乗り移った悪魔がバークを殺したと確信します。

リーガンの顔は、どす黒く変色し、少女の面影はすっかりなくなって全くの別人になってしまった。

そこでクリスは、以前ダイアー神父から聞いていた近所の教会にいる精神科医のカラス神父(ジェイソン・ミラー)を紹介してもらいます。

カラスは最初、難色を示します。

理由は、医学が発達した現代に悪魔がいるということが信じられず、教会でも「悪魔はいない」となっているからです。

そのため、下手に悪魔祓いをすると、更に症状が悪化することもあり得るので、カラスはクリスを説得します。

クリスの熱意に施されて、カラスはとりあえずリーガンの現状を見ることにしました。

実際にリーガンを目の当たりにしたカラスは、当惑してしまう。

リーガンは暴れるので、ヒモでベットに縛られていた。

「おれは悪魔だ、ほどけ」、「おまえのお袋も一緒だ、メッセージを引き受ける」と言われ、カラスが母親の結婚前の名前を質問したところ、逆ギレされ、緑色の液体を吐きかけられます。

日を改めてリーガンの部屋に訪れたカラスは、彼女のお腹に「HELP ME」という文字が浮かび上がっていることを確認し、ついに、悪魔祓いの申請決断をします。

ローマ法王より許可を得たカラスはメリン神父に悪魔祓いの依頼します。

メリンは、リーガンを見て、悪魔にとり憑かれていることを確認し、悪魔祓いに必要な法衣と2人分の式服、紫のストール、聖水、それとラテン典礼書をカラスに用意させます。

そして、メリンはカラスに「悪魔は嘘つきで混乱させるのが目的なので、絶対に話をしてはいけない」と忠告します。

ついに、悪魔祓いの儀式が行われます。

ベットに縛り付けられた状況のリーガンに対して、聖水をかけ、2人は典礼書を読み上げていく。

リーガンは縛っていたヒモをといて、空中に浮く。効果は次第に発揮され、「キリストが汝を救う」と2人が何度も唱えると、リーガンはベッドに落ちた。

ひとまず休憩をして、落ち着いたところ、心臓が弱かったメリンは命を落としてしまう。

メリンが死んだことで、カラスは、戸惑うが、自分でリーガンを救うことを決意する。

カラスは、悪魔に向かって「私の体内へ入ってみろ」と挑発し、悪魔がリーガンの体内から出て、カラスの体内に入り込みます。

そして、悪魔を倒すために、自ら犠牲となって2階の窓から身を投げました。長い石段を転げ落ちて、カラスは即死。

それによって、悪魔も滅び、リーガンは助かります。

キンダーマンは事件の真相を悟って、カラスの死を悔やみました。

なぜ悪魔はリーガンに取り憑いたのか?

キッカケは、リーガンがウィジャーボードを使って遊んでいたことから、パズスを引き寄せます。

ウィジャボード

降霊術もしくは心霊術を崩した娯楽のために用いる文字盤。
1892年にパーカー・ブラザーズ社が占い用ゲーム用品として発売した商品で、ウイジャ(Ouija)とは、フランス語で「はい」を意味する Oui と、ドイツ語で「はい」を意味する Ja から作られた造語である。
19世紀中盤に始まる心霊主義に起源を持つ。
当時は人の死後の霊魂と会話するために振り子や自動筆記などの技術を用いていた。
ウィジャボードはアルファベットや数字などの文字が書かれたボードが一枚と、文字を指し示すためのプランシェットという器具一個からなる。
遊び方(使い方)は日本のコックリさんと似ている。
複数人で文字盤を囲み、参加者全員が文字盤の上に置かれたプランシェットに手や指を添える。
誰かが質問をすると、プランシェットが動き出し、回答を文字で指し示す。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ウィジャボード

離婚した母親に新しい恋人ができたことに対する寂しさから精神的に弱っていたので、悪魔が容易に取り憑くことができる魂であったからだと思います。

悪魔は、信じる信じないは別として、誰にでも取り憑く危険性が潜んでいるという普遍的な恐怖を描いています。

とりわけ、母親のクリスに至っては、無神論者に近い、現実主義者。

あらゆる手法で検査をしても原因がわからないことから医者からサジを投げられ、「これはもう、悪魔祓いをするしか方法がない」と提案されて、躊躇するぐらい、神と悪魔といった類を信じていなかった。

信仰に直接関係無い生活をしていても、突然降りかかる災難として捉えるとわかりやすい。また、リーガンが悪魔に憑かれた構図は、親の視点で見た思春期の子供を象徴している。

親に甘えていた子供が、ある日突然、親に反抗して、距離を置き、口を聞かなくなる。

思春期における子供の変化は、親の立場からすると、いわば、悪魔が取り憑いたように見えるでしょうね。

そのような恐怖感を、悪魔に例えて表現しているといえます。

カラス神父はなぜ自分を犠牲にしてまでもリーガンを救いたかったのか?

『エクソシスト』は基本としてリーガンに取り憑いた悪魔と人間の戦いがベースになっています。意外とカラス神父の描写が必要以上に細かい。

それは、彼の罪悪感と懺悔の気持ちが関係しているからです。

彼はリーガンを悪魔祓いすることに躊躇していたのに、救おうと思ったのか。

それは、母親に対して、もっと親身になって接していればという自責の念を持っていた。その懺悔の気持ちから、リーガンを救おうと思ったというのがポイントです。

カラス神父は、1人寂しく暮らしている母親の元に顔をだしますが、その後、母親は精神科に入院しています。

そして、この時点で母親は、見舞いにきたカラス神父に対して、入院をさせたことを責め立てます。

さらにそのすぐ後、母親は亡くなってしまいます。

この一連の経緯があったので、彼はずっと自分を責めていて、母親と重ね合わせてリーガンを救いたいと解釈できます。

そして、より一層リーガンを救いたいという気持ちになったのが、クリスから「娘は死んでしまうのか」と言われたからです。

リーガンを救いたいという強い意志で、部屋に入るとメリン神父が死んでおり、それを嘲笑う悪魔に、我を忘れて、「取り憑いて見ろ!」と挑発します。

それは、悪魔祓いが失敗したのではなくて、リーガンに憑いている悪魔を自分の身体の中に入れさせ、道ずれにするために、自ら窓を突き破り外へ飛び出し、リーガンを救ったと私は捉えました。

冒頭の悪魔像について

冒頭で、メリン神父が悪魔のような像を見つめるシーンが出てきます。

これは、古代バビロニア神話に登場するパズスといわれ、アッカドに伝わる風と熱風による悪霊です。

アッカド

メソポタミア(現在のイラク)南部を占めるバビロニアの北半分の地域、またはそこに興った最古の帝国。
中心都市はアガデ。南側にシュメールが隣接し、北西側にアッシリアが隣接している。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/アッカド

ドラクエなどのファンタジー系のゲームに度々似通った姿で登場するので、イメージがつきやすいと思う。

なんで、あのような場所に悪魔像があるのか不思議ですよね。

これは、私の主観的な考えになりますが、恐らく当時のバビロニア人達を支配していた層が、統制を図るために、目上の人の言う事を聴かなければ悪魔によって命を奪われるというようなことを目的として存在が必要であったと思います。

恐怖に立ち向かう勇気

『エクソシスト』が凡百のホラー映画と違うところは、ただ恐怖を煽るのではなく、恐怖に怯むことなく立ち向かう勇気を見せた事です。

この視点の捉え方は本編を見ていただければわかってもらえると思います。

登場人物たちが、恐怖に怯え泣きわめいて、逃げ出した揚げ句に殺されてしまうという残念な人達ではないのです。

恐怖を叩きつけられ、憔悴しきって、考える気力も失い、もがき苦しみながらも決して諦めずに困難を乗り切ろうとする。

弱者を労わり守ろうと懸命に生きる人達の物語でもあります。

恐怖の対象となる悪魔も、闇雲に人を殺していくといったタイプではなく、知性と悪意に満ちた手に負えない存在として描かれています。

この悪魔は、ストレスを抱えていたり、過去のトラウマを引きづっているような精神的に弱っている人を徹底的に攻撃して、戦う気力を奪い打ちのめそうとするとても厄介な存在。

本編においても、メリン神父が『混乱をさせて、絶望させることが目的だ』と言っています。

哲学的な作品です

『エクソシスト」は、ただのオカルト映画という範疇で捉える作品ではないです。思うに極めて哲学的な作品といえます。

神父であるがゆえに、自分の信仰心に思い悩むカラス神父。

不本意に病院に入れられたことにより、寂しさを訴えていても聞き入れることができなくて、死んでしまった母親に対する罪悪感。

そんな何もできないでいた無力な自分。
でも、神は助けてはくれなかった。

自分のことで手一杯なのに、少女の悪魔祓いをする羽目になってしまう。

少女の家族は信仰に興味がない。
一見幸福そうに見えるけど、父親は離婚していない。

少女は心の奥底では、満たされず不満を抱えていた。

悪魔が少女に取り憑く設定も実に意味があります。

悪魔はカラス神父を混乱させようと母親の声に成りすまして、攻撃を仕掛けてくる。

悪魔と神父の戦いは、最後、自分の身を犠牲にして救った。

愛=自己犠牲というかたちで締め括り、自分と向き合った結果を表現していて奥が深い。

まとめ

『エクソシスト』は、1974年(昭和49年)に日本で公開され、「オカルトブーム」を巻き起こした作品。

どうしても、悪魔に取り憑かれたリーガンの上下に激しく揺れるベッドや首が180度回転するといったショッキングなシーンばかりがクローズアップされ、凡百のホラー映画と同類とされるのが悲しい。

アカデミー賞脚色賞を受賞していることからもわかるとおり、とても完成度の高い映画です。

2人の神父と悪魔による壮絶な戦いを後半部分は繰り広げていますが、ストーリー前半部分の様々な出来事が全て伏線となっており、それが見事クライマックスに活かさている。

巧妙なストーリー展開は、登場人物の心理状態をこと細かく描くことによって、「ホラー」という枠を超え、昇華したと感じています。

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