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映画『セブン』サマセットが犯人であった場合の考察をしてみました

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ネタバレ含みますのでご注意ください。

7つの殺人どれもが、猟奇的かつグロテスクで目を覆いたくなるような事件です。

ミルズの心の葛藤は「引き金を引けば負けてしまう。」とオチがわかっていても、相変わらず釘付けになって観てしまいました。

スカッとしない後味の悪い終わりかただっただけに、強烈に記憶に残っている作品。

この映画の素晴らしさはデビッド・フィンチャー が映像で表現したセンスだと思います。

例えば、前半部分の映像は、雨が降っていることから、薄暗く重くのしかかる空気が蔓延していて観ているだけで息苦しくなる。

そうした状況で、過剰に食べさせられた肥満男、手足を補足され、薬物を投与され続けミイラ状態になった男といった犠牲者たちの異様さを際立たせています。

それに比べて、ラストは事件解決に向けて快晴という表現はとてもわかりやすい。

観るたびに新たな発見がある、サイコ・サスペンスの傑作です。
そんな『セブン』のあらすじと感想をご紹介します。

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あらすじ

雨が降りしきるアメリカの大都市。

定年退職まで残すところ1週間となったサマセット(モーガン・フリーマン)は、殺人事件が発生した現場に駆け付けた。

そこに、新たに着任となったミルズ(ブラッド・ピット)が現れます。

ミルズは刑事としての活躍を求め、自らの意志でこの街にやってきた。

手柄を立てる事しか考えていないミルズに、サマセットは「7日間はおとなしくみているだけでいい」と言われます。

月曜日:第1の殺人(暴食)

この日も雨が降っている。

ミルズは殺害現場に駆けつけ、サマセットと合流する。被害者は肥満の大男で、スパゲッティの中に顔を埋めた状態で死んでいた。

検視の結果、食物の過剰摂取の状態で腹部を殴打されたことによって、内臓破裂が死因であることが判明する。

そして現場には、犯人のメッセージと思われる「GLUTTONY(大食)」と書かれた文字が残されていた。サマセットは犯行状況からみて、連続する可能性を分署長に示唆します。

退職前のサマセットに取っては荷が重すぎると断るが、分署長は捜査を命じました。

火曜日:第2の殺人(強欲)

次の事件は、オフィスビルの一室で、腹部を殺傷され殺された弁護士のグールドだった。グールドは金のためなら何でもする悪名高い弁護士であった。

現場の床には、「GREED(強欲)」の文字が血で書かれていた。

ミルズは殺害現場を検証していると、血痕でメガネをふちどったグールドの奥さんの写真に目が留まります。サマセットは分署長から、肥満男の胃にあった、プラスチックのかけらを受け取ります。

肥満男が殺害された現場に、サマセットは再び足を踏み入れます。

現場を見まわし、冷蔵庫を開けたところ床に傷がついているのを見つけ、肥満男から検出されたプラスチックを傷に重ねたところ一致した。

そこで、冷蔵庫を移動すると、壁に『GLUTTONY(暴食)』と油で書かれた文字とメモ用紙がありました。

メモには「地獄より光に至る道は長く険しい」とあり、これはミルトンの『失楽園』から引用していることから、『七つの大罪』を用いている

そのことから、あと5つの殺人事件が起きると分署長に告げます。

夜、サマセットは図書館に向かい、事件に関連されるとみられる資料として、『カンタベリー物語』や『神曲』などを手に取った。

そして、事件に関する資料の詳細を手紙に書いて、ミルズの机の上に置きます。

水曜日

ミルズはサマセットが書いた手紙を読み、事件の手がかりとなる本を買う。この日は、サマセットの使っている部屋をミルズが引き継ぐため一緒にいた。

そこへミルズの妻・トレイシーから電話がかかってきて、サマセットは、夕食を招待をされる。ミルズはサマセットと一緒に帰宅すると、トレイシーが出迎えた。

トレイシーとミルズ2人の馴れ初めを聞き、サマセットに「何で結婚しないのか」と尋ねます。サマセットは、チャンスはあったのだがタイミング逃してしまったと苦笑する。

食後、サマセットとミルズは、事件のことについて話をしていました。肥満男のほうが、グールドよりも先に発見された。

しかし、時系列で考えてみると、週末の休み前にあたる金曜日の夜に潜入し、月曜日も定休日で休みなことから火曜日に発見された。

そこでじっくり、土曜から月曜にかけて犯行に及んだ。
そのため、グールドの方が先であることが分かります。

ミルズはサマセットにグードルの犯行現場の写真を見せる。
グードルは右手だけ縛られず肉包丁を持たされている。

天秤には、1ポンドの肉。
骨も軟骨もない肉だけ…これは『ベニスの商人』から用いていると推測する。

ミルズは、「グードルのイスは、汗でびっしょりであった」と話す。
犯人はグードルにじっくりと、どこの肉を切るか決めさせていた。

「仮に自分が銃を突きつけられていたら体のどこを切るか」とサマセットに問われ、「腹のぜい肉」とミルズは答える。

グードルは腹の回りを切っている。

サマセットは「これは説教だ。大罪は中世の説教に使われた。七つの徳目と七つの大罪は説教の道具だ」という。

それに対してミルズは「教区司祭の話やダンテだ」と答える。ミルズはダンテ神曲の浄罪篇を読んでいた。

サマセットは、本が犯人の動機だとすれば、これは罪のあがない、殺しで痛悔を強いたものであると考える。

ミルズは犯行現場で気になったグードルの奥さんが目の回りを血でふちどっていた写真を見せる。

写真を見て「何かを見た、あるいは何かを見る筈だ」という暗号であると推理したサマセットはミルズを連れて、保護しているグールド夫人のところに出掛けます。

グードル夫人に犯行現場の写真を見せると、壁に飾られている絵画が逆になって掛かっていると指摘されます。

写真は鑑識が調べる前に撮影したもの。
なので、鑑識の人間が間違って壁に掛けたものではない。

2人は早速現場に向かい、写真の絵画を調べてみても、何も手がかりが見つからない。

サマセットが家具の上に立って、壁に黒い粉末がついた刷毛をつかってみると、指紋が浮かび上がった。

指紋で「HELP ME(私を助けて)」と書かれていた。
ようやく犯人の手がかりとなる指紋がみつかった。

早速鑑識に指紋の照合をさせ手配します。

ミルズは家に帰らず、サマセットと警察署のソファで仮眠を取りました。

木曜日:第3の殺人(怠惰)

ソファーで眠っていた2人の前に分署長が、指紋の照合が出たことを知らせにきた。犯人は通称ヴィクター、本名はアランという男だった。

ヴィクターは、長い間精神を病んでいた。

麻薬や強盗をやり、少女に暴行し服役するが弁護士の口添えで釈放される。その弁護士がグールドであった。

分署長は、ヴィクターを検挙するためにSWAT(アメリカ特殊部隊)を家に向かわせます。サマセットは、本能的に犯罪を犯してきたヴィクターが事件の犯人ではないと思っていた。

外は雨が降っていた。

SWATがアランの部屋に突入すると、ヴィクターは部屋のベッドに拘束され、痩せ細って廃人のようであった。

さまざまな薬物を投与した形跡が残されいて、壁には『SLOTH(怠惰)』の文字が書かれている。ヴィクターは犯人ではなく、被害者であった。

ヴィクターの様子を撮った写真から、1年も前から薬物投与が繰り返されていたことがわかります。すでに死んでいると思われていた中、近づいてみると突然動き出し、すぐに救急車で搬送します。

犯人はゲームをするかのようにもてあそんでいた。

そこに立入禁止なのに、通信社の記者が現れて、ミルズに向けて写真を撮る態度に腹を立て追い払います。

ヴィクターは、筋肉・背骨の衰退から1年は寝たきりの状態であったことがわかる。また、眼に光を照らしただけでもショック死するほど、衰弱していた。

そのため、事情を聞くことができない状態であった。

夜、トレイシーからサマセット家に電話があり、相談があると言われ、翌日会う約束をします。

金曜日

昨日からの雨はまだ降り続いている。

朝、サマセットはカフェでトレイシーと会いました。

そこで、トレイシーから妊娠して、どうすべきか悩んでいると打ち明けられる。サマセットは、かつて恋人と同棲してその彼女も同じく妊娠をした話をします。

彼女から妊娠の報告を受け、殺人事件が毎日起きる殺伐とした環境に、あえて新たな生命を生む価値があるのかと悩み、彼女を説得して中絶させた

これが、サマセットが独身を貫き通している理由。

サマセットは、トレイシーに「生むのであれば、精一杯子どもを甘やかし、生まないのであればミルズには内緒にしておくように」とアドバイスします。

ミルズは、捜査が行き詰っている状況に焦っていた。

変質者による犯行と決めつけていたミルズに対しサマセットは否定的であった。犯人は1年間ヴィクターを縛り付けて、ちょうど1年後、警察に踏み込ませるよう計画をしていた。

最初に残したメッセージが「地獄より光に至る道は長く険しい」
ヴィクターの手を切り取って、その指紋を壁に残した。

犯人は入念で緻密、そして何より我慢強い。
サマセットはミルズを連れて外に出ます。

ダンテ神曲浄罪篇、カンタベリー物語の他七つの大罪に関する本を図書館で借りたリストを得るために

FBI(連邦捜査局)から、利用者の閲覧記録を情報を内部の人間からお金を使って入手します。閲覧記録から七つの大罪に関する本を借りているジョン・ドゥという男が浮かび上がります。

まだ、この時点では、ジョン・ドゥには容疑がかけられていないので、あくまでも聞き込みという形でしか捜査はできません。

部屋を訪ねると、留守でした。

廊下に人影が現れ、ミルズとサマセットの姿を見ると、いきなり発砲してきます。ミルズは後を追いかけ、途中で見失い頭を殴られます。

銃口をこめかみに突きつけるが、男はそのまま立ち去り命を取り留めた。
サマセットは家宅捜査をしよとするミルズを引き止めます。

無断で、FBIの内密捜査をしていたことがバレてしまうからです。
しかし、ミルズは無視して、ドアを蹴破ります。

部屋に踏み込んだ口実を作るためにミルズは、アパートの住人にお金をあげてうその証言をさせた。ジョン・ドゥの部屋には一連の事件に関する証拠品がありました。

例えば、ホルマリン漬けにされたヴィクターの指、薬のキャップ、ミートソースの缶、書斎には手記を綴った大量のノートがあった。

ミルズは浴室で現像された自分の写真を見て、ヴィクターの現場に通信社の記者に装っていたのが、ジョンであることがわかる。

鑑識の手が入りくまなく調べても、ジョンの指紋はひとつもみつからないでいた。突然、電話のベルが鳴り響き、ミルズは電話機を探し当て電話に出ます。

電話はジョンからで、「今後の予定を変える」と挑発してきました。

土曜日:第4の殺人(色欲)

ワイルド・ビル皮革店の領収書が壁に貼られていた裏側に写っていた金髪女性が気になり、店に行って聞き込みをします。

ジョンがオーダーメイドしていた写真を店主が見せたところ、そこにはジョンの部屋にあった写真と同じ金髪女性であった。

パトカーのサイレンが聞こえたのでサマセットとミルズは駆けつけます。
殺害現場はモーテルであった。

ドアーには、LUST(肉欲)と書かれていた。
殺されていた娼婦は、写真の金髪女性であった。

ジョンが拳銃で、面識のない男を脅し、腰に凶器を着けさせ、娼婦と性行為を強要した。依然として、ジョンの行方は掴めずにいた。

日曜日:第5の殺人(傲慢)、第6の殺人(嫉妬)、最後は(憤怒)

深夜、警察にジョンから「またやったぞ」と連絡が入ります。

駆けつけてみると、壁には『PRIDE(高慢)』という文字が書かれ、ベッドに美人のモデルが死んでいました。

ジョンはモデルに睡眠薬を握らせ、片方の手に電話を持たせ、顔を切り刻んで包帯を巻いた。

助けを呼べば醜い顔で生きられる。
それが嫌なら、自ら死を選択させ、結局モデルは死を選んだ。

これによって、『七つの大罪』は、5つが完了し、残りは嫉妬と憤怒であった。警察署に戻ったサマセットは、ミルズに「もう少し捜査に残る」と告げます。

その時、血まみれになったジョンが2人を呼び止め、自首してきました。無抵抗のジョンは言われるがまま床に伏して「弁護士を呼んでくれ」と頼みます。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=VN9icwiN6io&list=PLOCi-8Iq_Mmhfi1Jts0wHElgtc0bGctjD&index=5

ジョンは、指先の皮をすべて剥いでいたことから、指紋が検出されなかったことがわかります。さらに借金や仕事の経歴も一切なく、口座は5年間現金の出し入れのみ。

わかったことは、ジョンには潤沢な資産があって、教養を持っている。

なんの前触れなく、突然自首してきたことには何か大きな意味があるとサマセットは睨んだ。あと2人を殺害すれば、『七人の大罪』は完成する。

サマセットは弁護士にジョンの考えを聞くことにする。
やはり、ジョンはあと2人の死体を隠していた。

「ミルズとサマセットを本日の6時現場に案内する」と弁護士は言います。
理由は尊敬しているから。

これは間違いなくジョンの誘いです。

さらに弁護士は「2人が断れば永遠に死体は見つからない。取引を断れば、ジョンは精神病を主張する」と言う。

ジョンの条件を受け入れれば、すべての罪を認めるという。

鑑識で、ジョンの服と爪を調べ、顔を切られたモデルの血と、誰か別の血が検出された。ミルズとサマセットはジョンの条件を受け入れることにした。

サマセットが運転し、助手席にミルズが乗り、防弾の覆いを隔てて、後部座席にジョンを乗せ移動を開始する。

上空からは、万一に備えてヘリが追跡している。行き先は、辺り一面なにもない場所で、鉄塔のそばで、ジョンは車を停止させます。

約束の時間になった。

その時、遠くから1台の車がこちらに向かってきます。
ミルズは車からジョン降ろし、サマセットは車に向かいました。

この車はミルズ宛の荷物を持ってきた運送屋であった。
運送屋を追い払い、サマセットはミルズ宛の荷物を開けてみ。

中身を見て、すぐさまサマセットは「奴の罠だ」と叫びます。ジョンはトレイシーの生首を箱に入れて、ミルズ宛に送ったのだ。

ジョンは平凡な生活を送っているミルズに嫉妬したとして、自ら『七人の大罪』の『ENVY(嫉妬)』にしたがります。

そして、ミルズに妻を殺害されたジョンに対して『WRATH(憤怒)』を仕立てたてるつもりでした。サマセットはミルズに繰り返しジョンの罠だと忠告します。

ミルズが挑発に乗ってしまうと、『七人の大罪』が成立してしまうからです。

トレイシーが身ごもっているからと命乞いをしたことを告げると、ミルズはこの瞬間、知って驚きます。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=VN9icwiN6io&list=PLOCi-8Iq_Mmhfi1Jts0wHElgtc0bGctjD&index=5

ついに怒りが抑えきれなくなったミルズは拳銃の引き金を引き、ジョンに撃ちこみます。

ミルズは、連行され、分署長はサマセットに「面倒は見る」といい、勤務延長はしないで、定年退職した。

仮にミルズがジョン・ドゥを撃っていなかった場合のラストを考えてみた

『セブン』は、初見で観た時、余りにも救いようのないバットエンドであったことから、気持ちがブルーになりました。

まぁこのラストがジョン・ドゥの計画した完結であり、また、作品の評価にもつながったと思うんです。

でも、ストーリーの展開上、なんとなく予想はできていたけど、最後にトレイシーが殺されてしまったことはすごくショックだった。

まさか、あんなむごい形で死んでいるとは、殺害された場面を想像しただけでやり切れないです。

そして、ミルズが怒りの感情を抑えることができずに、ジョン・ドゥを撃ってしまうシーン。

これまでの映画であれば、主人公はまず、撃つことはないだろうと予想します。けれども、犯人の挑発に乗ってしまい、撃ち殺してしまうという衝撃はとても辛くて観ていられなかった。

仮にミルズがジョン・ドゥを撃っていなかったらどうなっていたのか?

個人的な主観になるけど、ミルズは自ら率先し、活躍ができる環境を求め、あえて殺伐とした街に配属されたことを一生後悔しながら生き続けていくと思う。

トレイシーは妊娠しても喜ぶどころか思い悩んでサマセットに相談するぐらいですから、ホントに引っ越ししたことが嫌で堪らなかった。

その思いを汲み取ることができず、ミルズはジョン・ドゥからトレイシーが妊娠していることを告げられる。

そのことから、ミルズはトレイシーの意志を尊重して、刑事を辞めて街を出ていく。

バットエンドよりかは、多少ダメージが和らぐ感じですかね。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=VN9icwiN6io&list=PLOCi-8Iq_Mmhfi1Jts0wHElgtc0bGctjD&index=5

ミルズとサマセットのその後はどうなるか?

サマセットは分署長に「引退したら田舎で静かに暮らしたい」と話しているので、間違いなく街から離れているだろう。

あの街は、犯罪が多発し、生活するには良い環境とはいえない。

ジョン・ドゥを殺害したミルズの裁判は、難しいものになったと思う。

ジョン・ドゥの挑発にまんまと引っかかった結果ではあるけど、トレイシーが妊娠していた事実を聞かされた時のミルズの精神状態はどうすることも出来ない状態であったとと考えられる。

あれほど冷静であったサマセットが、ジョンを拳銃でぶん殴っているくらいですからね。

ミルズの衝撃は計り知れなかった。

恐らく、かなり減刑されたケースでの刑期か、または心身膠着と判断されて、情状酌量に近い判決になったと考えられる。

ラスト、サマセットに向かって分署長が「面倒を見る」と言っていたことから、刑事としての職務に就くことは無理だが、分署長のコネで、関連した仕事に就いていると思う。

ジョンの計画では、『七つの大罪』を犯したものはすべて、死ななければならないというルールを設けていたが、結局ミルズは死んでいないので、完全に計画をやり遂げだとは言い難いと個人的に感じました。

その後、ミルズが自殺をはかることによって、ジョンが思い描いた計画が完遂されるのではないかと思うんですよね。

けれども、そこは映画として、ミルズの死をあえて確定させないまま終わっているので、どちらにでも解釈することができる。

サマセットがヘミングウェイを用いて、人生において闘い続けることを決意したセリフから、前向きな意志として捉えることができるし、ミルズにおいても、罪を償い、前向きに人生を生きていくと意識させていると解釈することもできます。

この辺の解釈は、人それぞれの感じ方でいいのかなぁと思った。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=VN9icwiN6io&list=PLOCi-8Iq_Mmhfi1Jts0wHElgtc0bGctjD&index=5

真犯人がサマセットであった場合を考えてみた

まず、『七つの大罪』は、4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの著作に8つの「枢要罪」として現れたのが起源とされています。

6世紀後半に、グレゴリウス1世によって、8つから7つに改正されました。

わかりやすく図にしてみました。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/七つの大罪

ジョン・ドゥはトレイシーが妊娠していたことを知っていました。
だけど、その事実を知っているのは、サマセットだけです。

ジョン・ドゥは、ミルズにトレイシーが妊娠していたことをバラします。

あえて隠していたのに余計なことを喋ったことから、サマセットはジョン・ドゥの顔を殴ったと捉えることができます。

そのことによって、ミルズがジョン・ドゥを殺して『七つの大罪』が完成する訳ですが、元々『七つの大罪』は8つだった。

憂鬱と虚偽は混ざって消えました。
この憂鬱と虚偽に該当するのが、トレイシーとサマセットです。

憂鬱はトレイシー。

トレイシーはミルズのわがままによって、引っ越してきます。

彼女は小学校の先生をしていたことから、教員の職を探すが、教育レベルが水準に満たされていないことや街の治安が悪いことから、子供を産んで育てていくことに躊躇していた。

虚偽はサマセット。

サマセットは社会に不満を持ちながら刑事を続けていた。同じく世間に不満を抱えながら生きていたジョン・ドゥを仲間に引き込んでサマセットが洗脳して操っていたと考えることができる。

憂鬱と虚偽は混ざったとはいえ、サマセットを除く合計7人が罪を負っていることから『七つの大罪』と一致します。

そして、『虚飾』の意味は、余計なことは見て見ぬふりを装い関わらない。これは、事件の背後関係を追求しない警察に対する皮肉も込められていると感じます。

サマセットが真犯人ではという視点で観てみると、確かに不自然なところが浮かび上がってきます。例えば、サマセットが退職する7日前に偶然『七つの大罪』に見立てた殺人事件が起きたこと。

ジョン・ドゥがトレイシーを殺したのが、ミルズに嫉妬したからだと強引に罪を作っており、トレイシーが抱えていた鬱を罪としてあえて言わなかったこと。

これらのことを見て、サマセットが事件に関与していると考えることもできます。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=VN9icwiN6io&list=PLOCi-8Iq_Mmhfi1Jts0wHElgtc0bGctjD&index=5

まとめ

久しぶりに鑑賞をして、やっぱり凄いサイコスリラーだと再認識しました。

サイコスリラーといえば、『羊たちの沈黙』の成功によって、模倣したB級作品が乱立された記憶がある。

『羊たちの沈黙』に匹敵する作品は出ないと、当時は思っていた。
そこで、登場したのがこの『セブン』です。

クールで洗練された映像の本作は、緻密な脚本とブラッド・ピットとモーガンの演技が見事に絡み合い抜群に面白い。

私が特に『セブン』に魅了される点は、ジョン・ドゥの設定です。

経歴が一切わからず、潤沢な資産があって教養も兼ね備えており、まったく掴みどころがない男。

そんなジョン・ドゥを演じたケビン・スペイシーの抑えた演技が、恐怖と虚無感を表現していて圧倒的な存在感を示した。

『羊たちの沈黙』もそうだけど、語り継がれる名作というのは、ただ単純に面白いだけでなく、観る人に訴えかけるものを持っていると実感した。

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© 2023 名越三郎太のブログ